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p.27 抽出テキスト

られる.

1.3 低電位領域アブレーション

左房低電位領域は,不整脈基質となりうる心筋障害を反映する所見として注目されており,肺静脈隔離に低電位領域焼灼を追加することにより,アブレーションの治療成績が向上する可能性が後ろ向き研究で示唆されていた248).

近年,左房低電位領域アブレーションについて,いくつかのRCT が行われているが,低電位領域アブレーションの追加効果は乏しいとする報告と,効果が得られたとする報告が混在している249-253).肺静脈隔離に追加した低電位領域アブレーションに関するメタ解析では,発作性心房細動では効果は認められないものの,持続性心房細動においては非再発率が有意に高かったとされている254).

ERASE-AF では,持続性心房細動のアブレーションにおいて,肺静脈隔離に低電位領域アブレーションを追加した群で再発率が低かった252).65 歳以上の発作性心房細動患者を対象としたRCT であるSTABLE-SR-III では,低電位領域アブレーションを追加した群で有意に再発率が低く,特に低電位領域を認めた症例における再発率は半減していた(HR 0.49,95%CI 0.25 ~0.94,P=0.03) 253).低電位領域アブレーションの有効性を検討したこれらの試験では,低電位領域の定義(低電位のカットオフ値,使用する多点マッピング電極カテーテル),焼灼エンドポイント(低電位領域のhomogenization,または後壁隔離や前壁ラインなど線状焼灼の完成),患者背景(低電位領域をもつ患者の割合)にばらつきを認める.低電位領域アブレーションの標準的手法の確立は,重要な課題である.また,低電位領域の存在は心房心筋全体の線維化を反映しており255),このような症例ではアブレーション後の不整脈基質のさらなる進展が想定されるため,一時的に効果は得られても長期的な再発予防効果が低い可能性が危惧される.

このように,低電位領域アブレーションは,持続性心房細動症例に対して行われた研究のメタ解析や近年の複数のRCT などにより有効性のエビデンスが増えつつあるが,現時点では確立された方法とまではいえず,広範な通電による左房機能への悪影響や心房頻拍の基質となる可能性があるという懸念も踏まえ,本フォーカスアップデートでは左房低電位領域を有する持続性心房細動症例において推奨クラスIIb の適応とした. 1.4 マーシャル静脈エタノール注入 化学的アブレーション

マーシャル静脈(VOM)は胎生期の左上大静脈の遺残物であるが,心筋細胞を含むとともに自律神経系の強い影響を受けていることから,心房細動の開始と維持に関与しているとされている256).また,VOM 自体が不整脈回路の一部を形成し,僧帽弁輪峡部への線状焼灼時のブロック形成困難や,心内膜側からでは焼灼困難な心房頻拍(VOM 関連心房頻拍)の原因となる.

VOM への逆行性バルーンカニュレーションとエタノール注入(VOM-EI)は,VOM の支配領域に化学的焼灼巣を作り出す.VOM-EI によりVOM の心筋細胞と自律神経が除去され,さらにVOM の支配領域である僧帽弁輪峡部周辺の心筋に心外膜側から傷害を加えられることで,心房細動の治療に寄与する可能性が提唱されてきた257).

VENUS では長期持続性心房細動のカテーテルアブレーションに対して,肺静脈隔離にVOM-EI を追加し基質修飾を行った群(VOM-EI 群)では,通常治療群に比べて再発率が有意に低かった258).同試験を含めたメタ解析においても,VOM-EI 群は通常治療群に対して治療成績が有意に良好であった259).VOM が回路の一部となっている心房頻拍や,難治性の長期持続性心房細動の症例においてはVOM-EI が有効であり,VOM-EI を考慮することは妥当である.

ただし,独自の技術と経験を要すること,エタノール注入による組織損傷の範囲を制御することが難しく,潜在的にリスクがある手技となること,専用の機器に乏しく, 2024 年2 月現在,既存の医療機器を保険医療で認可されていない目的で使用する必要があることなど,解決すべき点も多く存在する.

1.5 その他の追加通電

その他の追加通電部位の同定方法および使用機器として,ローターアブレーションを目的としたfocal impulse and rotor modulation(FIRM)マップやCardioInsight, ExtraMap が提唱されているが,「2021 年JCS/JHRS ガイドラインフォーカスアップデート版不整脈非薬物治療」6)発行以降,エビデンスとしての進展はない.

新たなアブレーション手法として,Non-PV トリガーの発生源と考えられる,洞調律中のfractionated signal areas in the atrial muscle(FAAM)を追加焼灼する方法260)や,心房細動のドライバーとしてspatio-temporal electrogram