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p.26 抽出テキスト

電の有効性は確認されなかった.同時期に行われたCHASE-AF でも同様の結果であり237),持続性心房細動の肺静脈隔離術に追加焼灼を行うことの是非が議論となった.

一方で,持続性心房細動症例において,肺静脈隔離+追加通電(後壁隔離を含む線状焼灼,もしくはCFAE)に対する肺静脈隔離単独の治療効果の非劣性を検証したEARNEST-PVI では,肺静脈隔離単独群で再発率が高い傾向にあり,非劣性は示されなかった238).

この結果の違いは,技術の進歩が関連している可能性がある.心房細動カテーテルアブレーション後の再発の原因として,隔離した肺静脈の再伝導と,非肺静脈の不整脈基質残存があげられる.STAR-AF II やCHASE-AF が行われていた頃は,再発例のほとんどで肺静脈の再伝導が認められており,これが再発の主因であったと考えられる.近年,アブレーションカテーテル先端のコンタクトフォースの安定性を考慮した通電指標,組織側の局所インピーダンス低下をガイドとするアブレーション法やクライオバルーンアブレーションが広く普及し,再発時に肺静脈電位の再伝導がない症例が増えている239).これらの症例における再発の機序には非肺静脈の不整脈基質が関与していると考えられるため,非肺静脈に対する追加通電の効果が顕在化したものと考察されている.このように,カテーテルアブレーションに関連するテクノロジー(アブレーションカテーテルやその周辺機器)の進歩によって,追加焼灼の効果が変わってしまうという点は,その有効性を考えるうえでも重要な点である.

さらに,EARNEST-PVI の事後解析で,追加通電が有効な患者群と,有効でない患者群の特徴が検討された.本

研究では左房低電位領域を予測するDR-FLASH スコア(糖尿病,腎障害,女性,左房拡大,高齢,高血圧,持続性心房細動)で患者を層別化し,不整脈基質が多いと考えられる患者群において追加焼灼が有効であった240).どのようなテクノロジーを用いて,どのような背景の患者に,どのような焼灼法を追加すべきかが,実臨床で追加通電の施行を決定する際にディスカッションされるべきである.

1.2 左房後壁隔離

代表的な追加通電として,左房天蓋部ラインと左房後壁底部ラインを肺静脈隔離に追加する左房後壁隔離がしばしば行われる.近年,左房後壁隔離の効果を検討したRCTがいくつか行われているが,その結果は一定ではない.

CAPLA では,初回の持続性心房細動カテーテルアブレーションにおいて,肺静脈隔離に追加した左房後壁隔離の効果が乏しいという結果に終わった241).本試験では,後壁隔離群で心房頻拍による再発が多く認められる傾向がみられ,後壁隔離のための線状焼灼が再伝導してギャップを形成することにより医原性心房頻拍の回路が形成されてしまい,治療効果が相殺された可能性が示唆されている.また,RILI においては,心房細動の再カテーテルアブレーション時に肺静脈の再伝導を認めた症例において,肺静脈再隔離に追加した後壁隔離の有効性が検討されたが,その効果は乏しいという結果であった242).本試験では,肺静脈再隔離の効果により後壁隔離の追加効果がマスクされた可能性が否定できない.

一方で,左房後壁隔離の有効性を示した試験も存在する.左房に低電位領域を有さない持続性心房細動患者で,連続刺激法により心房性不整脈が誘発された群において,後壁隔離を追加することにより治療成績が向上したという報告や243),持続性心房細動のクライオバルーンアブレーションにおいて,肺静脈隔離に後壁隔離を追加することにより治療成績が向上したとする報告もある244, 245)(本邦ではバルーンアブレーションによる左房後壁隔離は2024 年2 月現在,保険適用外使用).肺静脈隔離に追加した左房後壁隔離の効果に関する統合解析では,左房後壁隔離の追加は発作性心房細動に対しては有効ではないが,持続性心房細動に対しては有効であることが示唆された246).

このように,後壁隔離をルーチンで施行することについてはRCT からの十分なエビデンスは得られていないものの,後壁隔離を行う患者を選択すれば有効である可能性がある.なお,左房後壁隔離の懸念事項として,左房食道瘻を含む食道関連合併症もあり247),症例選択が重要と考え

表11 肺静脈隔離術以外の心房細動カテーテルアブレー

ション手技の適応に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

持続性心房細動に対する初回アブレーションにおいて,肺静脈隔離に追加して後壁隔離を考慮してもよいIIb B左房低電位領域を有する持続性心房細動において,肺静脈隔離に追加して同領域に対するアブレーションを考慮してもよいIIb B VOM が回路の一部となっている心房頻拍であって,他の方法によるカテーテルアブレーションによる不整脈の焼灼が困難である場合に,VOM-EI を考慮してもよいIIb C長期持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションにおいて,従来の肺静脈隔離にVOM-EI の追加を考慮してもよいIIb B