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p.20 抽出テキスト

グ出力を変更することにより,刺激伝導系ならびに局所心筋の捕捉されるタイミングが異なる結果,QRS 波形が出力に依存して変化することが特徴とされる.

HBP は,三尖弁輪の心房側または心室側にリードを留置してヒス束を捕捉する方法で,もっとも生理的な興奮伝播様式が得られる.ペーシング出力を変更することにより,ヒス束の単独捕捉(selective pacing)もしくはヒス束と局所心筋の同時捕捉(non-selective pacing)が観察される.

左脚領域ペーシング(LBBAP)は,右室中隔の深部にリードを進め,左室中隔心内膜下からペーシングを行う方法で,左脚本幹あるいは左脚枝を捕捉することを目的とする.HBP と異なり,かならずしもリード先端で左脚電位は記録されない.LBBAP では右室への興奮伝播が遅延するため,心電図波形で通常V1 誘導のQRS 終末部にR 波を認めるのが特徴である.

左脚の直接的な捕捉を示唆する所見として,ペーシング出力の変更にともなうQRS 波形の変化,ペーシングからV6 誘導R 波ピークまでの時間(V6RWPT)と記録された左脚電位からV6RWPT が近似(±10 ms) 142),ペーシングか

らV6RWPT <75 ms(QRS 幅正常/ 右脚ブロック単独例)もしくは<80 ms(左脚ブロック[LBBB]/ 心室内伝導障害/ 右脚ブロック+脚枝ブロックなどの伝導障害を認める症例) 143),V6 誘導とV1 誘導のR 波ピーク時間差>44 ms 144)などが報告されている.左脚と左室中隔が捕捉された場合(non-selective pacing)と左脚の捕捉が失われた左室中隔のみの捕捉では,ペーシングからV6RWPT に10 ms以上の差が生じると報告されているが145),左脚の捕捉の有無が予後に与える影響は明らかではない.

現時点では,左脚を直接的に捕捉しない左室中隔ペーシングもCSP の一部として扱われている143, 146).

6.2 HBPとLBBAP の特徴と相違点(図6)

HBP はもっとも生理的なペーシング法であるが,リード留置が可能な領域が狭く,かつ伝導途絶部位の遠位側を捕捉する必要がある.一般的に手技難易度は高いとされるが,

図6 刺激伝導系ペーシングにおけるペーシング部位(左図)ならびにヒス束および左脚ペーシングによる12 誘導波形(右図) Non-selective pacing では刺激伝導系(ヒス束もしくは左脚)と局所心筋が同時に捕捉されているが,selective pacing では刺激伝導系が単独で捕捉されているLBB:左脚,RBB:右脚,LVSP:左室中隔ペーシング,LBBP:左脚ペーシング,LBBAP:左脚領域ペーシング

I II III aVR aVL aVF V1 V2 V3 V4 V5 V6

リード先端単極電位

100 ms

HBP LBBP

自己QRS non-selective

HBP selective

HBP自己QRS non-selective

LBBP selective

LBBP

LBB RBB

ヒス束ブロック

部位

LBBP LBB

RBB

distal HBP

LVSP

LBBAP P

P

ヒス束