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p.15 抽出テキスト

合併症罹患率(HR 0.68,95%CI 0.59 ~0.78),デバイス治療再介入率(HR 0.59, 95%CI 0.44 ~0.78),感染症罹患率(<0.2% vs. 0.7%,P<0.0001),心不全入院率(HR 0.90,95%CI 0.84 ~0.97)について,有意な低下が認められた94).この結果より,リードレスペースメーカの利点は中期的に維持されることが示された.

3.3 新たなリードレスペースメーカ

AveirTM VR(アボット社)は本邦で2022 年12 月に承認され,植込みが開始された.前身であるNanostim の改良型の本リードレスペースメーカの特徴は,固定前の電気的情報の測定が可能であること,将来的なDDD へのアップグレードが可能なことである(DDD は2024 年2 月現在本邦未承認).2023 年6 月に発表された,患者300 人に対し行われたDDD リードレスペースメーカの前向き研究では,植込み成功率が98.3%,デバイスや手技に関連した合併症(術中ディスロッジメント1.7%,術後ディスロッジメント1.7%,心囊液貯留が0.7% など)が約9.7%,植込み3 ヵ月後における70% 以上の房室同期は90.2% の患者で認められた95).LEADLESS-II Phase 2 では患者200 人に対してAveirTM VR の植込みが行われ,平均3.9 ヵ月の経過観察の結果,安全性(96.0%,95%CI 92.2 ~98.2%)・有効性エンドポイント(95.9%,95%CI 92.1 ~98.2%)ともに良好であることが示された.もっとも多かった合併症はタンポナーデ3 人(1.5%,2 例で開胸術)と不完全な留置(1.5%)であり,MicraTMとおおむね同様の結果を示していると考えられた96).また,AveirTMの前身であるNanostimTMでは最長9 年後の抜去の報告97)があり,抜去用システムも使用可能である.長期的な抜去の難易度に関しては比較検討されておらず,不明である.

3.4 VDD モード

MicraTM AV では加速度センサーを利用して心房の収縮を感知し,心房に同期した心室ペーシング,VDD ペーシングが可能である.洞結節機能正常および完全房室ブロックの患者を対象としたMARVEL2 では,VVI モードと比較してVDD モードで高い房室同期ペーシング率が示されたが,比較的短時間での安静時における評価に限定された98).

またAccel AV では,房室ブロック患者152 人にMicraTM AV を植込み,1 ヵ月時点での日常生活における房室同期が評価された.MicraTM AV のVDD モードでは,安静時において平均85.4% の房室同期が認められ,生活の質(QOL)改善も示された99).一方で,活動時の房室同期は

74.8% と低めであったが,丁寧に再設定することで10%以上の追加的改善が認められた.心拍数の増加による心室拡張期(A3)から心房収縮(A4)までの期間であるA3A4の癒合や,体動による心房収縮のセンシング低下などが考えられた.活動性が高い患者や洞機能が保たれている房室ブロックの患者,心房機能障害がある患者においては, MicraTM AV では房室同期率が低下する可能性がある.患者が日常生活に戻った段階で外来でのプログラム設定の最適化が重要と考えられる100).

3.5 合併症のリスク評価

リードレスペースメーカは経静脈ペースメーカと比較してリード・ポケット関連合併症が少ないものの,心筋穿孔・心囊液貯留が1 ~2% に認められる101, 102).心筋穿孔に対して開胸術を要する症例もあるため,術前のリスク評価は重要である.

Piccini ら103)はMicraTMを用いた3 つの国際的臨床試験から2,817 人のデータを収集し,心囊液貯留を認めた32人について,植込みにおける心囊液貯留のリスクスコアを検証した.多くの臨床的特徴のうち,最終的に85 歳以上, BMI <20 kg/m2,女性,心不全,陳旧性心筋梗塞,肺高血圧,慢性閉塞性肺疾患(COPD),透析がリスク増強因子, 85 歳未満,心房細動,心臓手術後,冠動脈疾患がリスク低減因子と判断された.彼らは増強因子をプラス1 点(COPD は2 点),低減因子をマイナス1 点としてリスクスコアを作成し,中リスク(1 点)および高リスク(2 点以上)の患者は低リスク(0 点)患者に比べ,心囊液貯留が有意に多い(それぞれの予測値が0.4%,1.5%,4.8%)ことを示した.このような高リスク患者群では特にMicraTMの繰り返す心腔内展開(deployment)によって心囊液貯留リスクが上昇するため,注意が必要と考えられる.

また,本邦におけるMicra VR Acute Performance レジストリでは,患者300 人における術後1 ヵ月ならびに6 ヵ月の主要合併症は国際的レジストリと同程度であったが,日本人患者は高齢,低BMI で女性が多く,心囊液貯留の危険因子をより多く有していた104).

3.6 デバイス抜去後の代替としての リードレスペースメーカ

感染によるデバイス抜去後,ペーシング依存の患者に対する一時ペーシングの代替としてのリードレスペースメーカ植込みに関しては,複数の報告がある.Beccarino らは,