p.14 抽出テキスト
性に関する新たな知見に関して記述する.リードレスペースメーカ植込みに関する推奨を表5 に示す. 3.1 適応年齢 リードレスペースメーカはこれまで使用可能であったVVIR,またはVDDR モード(MicraTM AV)のように房室同期性が得られない(あるいは得にくい)という特性から,おもに徐脈性心房細動や高齢者に対して用いられる傾向があった.しかし,若年患者における経静脈的ペースメーカ植込みには感染リスクへの曝露が長期化すること,高い活動性がリード損傷のリスクを増大させるという懸念があることより,若年患者におけるリードレスペースメーカの有用性が再考されつつある. 電池消耗時の対処法(新規植込み時に抜去すべきか否か)に関しては結論が出ていないものの,英国のエキスパートコンセンサス91)では,40 歳以下の若年患者に対するリードレスペースメーカの植込みについて,78% のエキスパートが妥当であると回答した.リードレスペースメーカ植込みが推奨される患者として,感染リスクが高い,末期腎不全,デバイス感染の既往,経静脈リードを植込みにくい解剖学的制約,ステロイドや免疫抑制薬などの薬物療法中,放射線治療中,先天性心疾患,40 歳以下,血管内カテーテル留置中,またはその必要性が高い場合などがあげられている. 18 ~40 歳の患者35 人を対象にした多施設の後ろ向き観察研究では,平均26 ヵ月の観察において,安全性エンドポイント(システムや手技に起因する主要な合併症がない)は100% 達成され,ペーシング閾値は0.24 ms のパルス幅の2 V 未満で安定した.また,有効性エンドポイント(植込み時からの閾値上昇が1.5 V 以下)は94% であった92). 今後は若年者に対する植込みの拡大が予想されるが, 2021 年のESC ガイドラインでは,20 年を超える余命が予想される患者においては慎重に判断すべきとコメントされている93).複数植込みの可能性や電池消耗時の判断(抜去か留置かの選択など)の検討が必要である. 3.2 安全性 Micra CED study は米国メディケアのデータを用い, VVI 型リードレスペースメーカMicraTM VR 植込み例(6,219 人)と経静脈VVI ペースメーカ(10,212 人)を抽出し,植込み後3 年の中期成績を評価した試験である.MicraTM VR は経静脈VVI ペースメーカに比して,全死亡率は同等であったものの(HR 0.97,95%CI 0.92 ~1.03),遠隔期図2 本邦で使用可能なリードレスペースメーカ(2024 年 2 月現在)左:VVI タイプ,右:VVI タイプ・VDD タイプ 図3 心臓内のリードレスペースメーカ植込み模式図 表5 リードレスペースメーカ植込みに関する推奨と エビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 下記の条件を有する患者に対し,リードレスペースメーカの植込みを行う1感染リスクが高い,2末期腎不全,3デバイス感染の既往,4先天性心疾患などで経静脈リードの植込みが難しい解剖学的原因がある,5ステロイドや免疫抑制薬などの薬物治療中,6放射線治療中, 7長期的血管内カテーテル留置中あるいはその既往I Bリードレスペースメーカによる心筋穿孔・心囊液貯留のリスク(年齢≧85 歳,BMI <20 kg/m 2,女性,心不全,陳旧性心筋梗塞,肺高血圧症,慢性閉塞性肺疾患,透析の有無)評価を行うI B