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p.12 抽出テキスト

るVT/VF あるいは心臓突然死の発生率は約20% と報告されている59, 61).

2.2 VT/VF の発生に関連する因子

VT/VF の発生と関連する代表的因子としては,1LVEF ≦35% 61, 62),2高度房室ブロック63, 64),3心臓MRI における右室あるいは左室の遅延造影65-68),4炎症残存があげられる.LVEF が比較的保たれた症例においてもVT/VFや突然死が生じることがあり,このような症例では心臓電気生理学的検査(EPS)

69, 70),心臓MR における遅延造影68),

心臓18F-fluorodeoxyglucose-positron emission tomography(18F-FDG-PET)やgallium-67(Ga)シンチグラフィによるリスク層別の有用性が報告されている68, 71, 72).

Mehta らは,心臓外サルコイドーシスが組織学的に診断され,かつ18F-FDG-PET,心臓MR で異常所見を有する無症候例76 人を対象とし,EPS の予後予測能力を検討した.8 /76 人(11%)でVT/VF が誘発され,経過観察中(中央値5 年),6/8 人にVT/VF あるいは死亡が認められた.一方,VT/VF が誘発されなかった68 人における死亡は1人のみであった73).したがって,EPS をリスク評価目的に用いることは妥当と考えられる.

2.3 心臓サルコイドーシスに対する ICD の有用性

心臓サルコイドーシスに対するICD の有用性に関しては,これまで一次・二次予防ともに複数の報告が存在する74-76).一次予防を目的としたICD 植込みに関しては, LVEF ≦35% の症例に特に有用であることが以前から示されてきており62, 74),欧米のガイドラインでも強く推奨されている(推奨クラスI)

41, 77).また,上述した通り,高度房

室ブロックで恒久的ペースメーカが適応となる場合(特にNSVT を認める場合78)),あるいは心臓MR で広範囲の遅延造影を認める場合においてはVT/VF あるいは心臓突然死の発生リスクが有意に増大することが明らかとなっており68, 75, 79),ICD 植込みを考慮すべきである41, 77).

なお,近年心臓MR における遅延造影の定量評価が可能となり,VT/VF や突然死の予測における有用性が複数報告されているが66, 80, 81),確実なコンセンサスが得られた定量評価法は確立されていない.しかし,免疫抑制薬投与後の炎症がコントロールされた後においても,おおむね心筋重量の20% 以上に遅延造影が認められるものを広範囲の定義とし,これらを高リスクであるとするものが多い59, 66, 80, 81). 18F-FDG-PET や67Ga シンチグラフィーに関しては,

前述のようにリスク層別における有用性を示唆する報告は存在するものの71, 72, 82),否定的な報告もあり83),単独でのリスク評価は困難である.特に,18F-FDG-PET 撮影については,標準摂取率値の施設間での差異が大きく,定量化が難しいため,予防的なICD 植込みの適応判断に用いることは現状困難であると考えられる.

しかし,右室へのFDG 集積がある場合や,血流シンチグラフィーによる異常部位への炎症残存例が特に高リスクであるという報告もあり82),免疫抑制薬に不応性の炎症が残存すると判断された症例では,心機能,心臓MR における遅延造影,EPS の結果を参考に突然死リスク評価がなされるべきである.Kazmirczak らは,米国心臓病学会(ACC)/ 米国心臓協会(AHA)/ 米国不整脈学会(HRS)ガイドラインを用い,これらの危険因子を290 人の後ろ向きコホートで検証した.ICD 適応推奨クラスI あるいはIIaに該当する症例では,それぞれ年率19.4 ~81.7%,2.1 ~ 19.6% の心臓突然死あるいはVT/VF の発生を認め,ガイドラインの妥当性が示唆された84).本邦における後ろ向きコホート188 人を対象とした検証においても,米国ガイドラインのICD 適応推奨クラスI あるいはIIa に該当する症例では,それぞれ年率3.9 ~6.8%,2.4 ~2.5% の心臓突然死あるいはVT/VF の発生を認め,おおむねその妥当性を支持する結果であった85).

したがって,本邦における心臓サルコイドーシスのICD植込み適応をエビデンスにもとづき判断する場合,欧米のガイドラインと基本的事項に関しては一致する.心臓サルコイドーシスに対するICD 植込みの推奨とエビデンスレベルを表4,推奨に基づくICD 植込み適応判断に関するアルゴリズムを図1 に示す.

心臓サルコイドーシス患者のなかには,恒久的ペースメーカ植込み後,体内金属植込み後や腎機能障害などで心臓MR による遅延造影の評価ができない場合もある.推奨に十分なエビデンスではないものの,12 誘導心電図におけるFragmented QRS 86, 87),T-peak to T-end interval to QT interval ratio 88),心エコーにおける心室中隔基部菲薄化はVT/VF の発生と有意に関連することが報告されている89).また,Nordenswan らは,米国ガイドラインの推奨クラスIあるいはIIa 適応を満たさない心臓サルコイドーシス患者における突然死の5 年発生率は4.8%(95% 信頼区間[CI]

1.2 ~19.1)と,決して低くないことを示しており90),より

精密なリスク層別法の開発が待たれる.