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は複合ヘテロ接合)が検出されることが有用であり,遺伝学的検査が重要な位置づけとなる514). なお,近年ではPAH と診断された患者においてもEIF2AK4 に両アレルのバリアントを有する症例が報告されている501, 515, 516).欧州の大規模コンソーシアムを用いた研究では,一般集団では認めなかったEIF2AK4 の両アレルバリアントを,864 人のPAH 患者中9 人(1.04%)に認め,さらに,これらの患者では,PVOD/PCH の特徴の1つとされる肺拡散能の低下を認め,生命予後はEIF2AK4の両アレルバリアントを有さないPAH 患者よりも有意に悪かった515). 以上から,PAH と診断された症例においても, EIF2AK4 バリアントに基づく肺静脈病変が病態に関与している症例がPAH に一部含まれており,遺伝学的検査によってEIF2AK4 の両アレルバリアントを認めた場合にはPVOD/PCH に準じて治療方針を検討すべきと考えられる.欧州で2022 年10 月に発行された肺高血圧症診断治療ガイドラインにおいては,PVOD/PCH の徴候を伴うPAH の診断のための,臨床所見,画像診断,血液ガス分析,肺機能検査と組み合わせた遺伝学的検査の実施(推奨クラスI),および,遺伝性PVOD/PCH の診断のための遺伝学的検査による両アレルEIF2AK4 バリアントの同定(推奨クラスI),が推奨されており499, 500),本ガイドラインでも同様の推奨とする. 2.4 その他のPAH 関連遺伝子 日本人成人PAH 患者では,BMPR2 遺伝子,RNF213遺伝子の順に変異頻度が高く,これら以外の遺伝子は数%以下程度の頻度で認められる.ACVRL1 遺伝子やENG 遺伝子は遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)(オスラー病)の発症関連遺伝子であり,HHT ではPAH の合併が知られているが,HHT の症状や家族歴を伴わないPAH 患者でもこれらの遺伝子バリアントを認めることがある517).また, SOX17 遺伝子は欧州のPAH コホートからPAH 関連遺伝子として報告され501),日本人PAH 患者でも病的バリアントの存在が報告されているが518),同時に,ASD などの先天性心疾患との関連も報告されている519). 3 肺高血圧症専門施設と診療体制 肺高血圧症診断治療ガイドライン499, 500)において,肺高血圧症専門施設における遺伝カウンセリングを含めた肺高血圧症診療体制の構築が推奨された(推奨クラスI).また,従来はPAH 女性患者の妊娠・出産は禁忌とされてきたが,一概に禁忌とするのではなく,妊娠を希望する,または,妊娠しているPAH 女性患者に対する,意思決定と患者および家族への心理的支援のための,肺高血圧症専門施設における遺伝カウンセリングの実施が推奨された(推奨クラスI).本ガイドラインでも同様の推奨とし,肺高血圧症専門施設と診療体制の適切な構築に向けて,わが国でも継続的に取り組む必要があると考えられる.