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るため,両者の異同が問題になっていたが,疾患感受性HLA の観点からは別個の疾患と推測される.HLA 以外の疾患感受性領域として,PLG,P4HA2 が海外から報告されているが404),わが国からの報告はない. 3.1.3 川崎病 川崎病は改訂版CHCC 分類2012 で結節性多発動脈炎とともに中型血管炎に分類される.東アジアに多く欧米に少ないため,感染性の要因と遺伝性の要因の両面からの研究が進んでいる.2016 年のわが国における全国調査では5 歳未満児の罹患率は309.0 人/10 万人である一方405),2006 年の米国で5 歳未満児の川崎病による入院は 20.8 人/10 万人に過ぎない406).ハワイ在住の日系人と白 人の比較においても同様の民族差が報告されており,遺伝的要因の関与が推測される407).特定のHLA との関連についていくつかの報告があるが,結果は報告により必ずしも一致していない.わが国からのGWAS ではHLA-DQA2 とHLA-DOB の間のSNP との関連が示されている408). 多くのGWAS がわが国および海外から報告されており408-411),候補遺伝子の検索による同定も含めると,これまでに20 以上の疾患感受性遺伝子が報告されている.2008年にわが国より報告されたITPKC 遺伝子第一イントロン内のSNP は,川崎病発症および冠動脈病変合併に関連し, mRNA のスプライシング効率の低下によりリンパ球の過剰活性化をおこすと考えられている412).その他,GWAS で確認された疾患感受性遺伝子としては,FCGR2A,BLK, CD40 が挙げられる.さらに,ITPKC およびCASP3 のSNP については,日本人において治療抵抗性および冠動脈病変合併のリスクと関連するとの報告がある413). 3.1.4 結節性多発動脈炎 改訂版CHCC 分類2012 400)で大型・中型血管炎に分類される4 疾患のうち,上記3 疾患については多くの疾患感受性遺伝子の報告がある一方で,結節性多発動脈炎についての報告は非常に少ない.2014 年にADA2 遺伝子の機能欠損変異が小児期より結節性多発動脈炎に類似した病態をおこすことが報告された414-416).遺伝形式は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)であり,わが国からも同疾患の報告がある417). 3.1.5 ベーチェット病 日本から中国,中央アジア,中東,地中海沿岸にかけて集積するためシルクロード病とも呼ばれる.人種差を超える最も強い遺伝要因としてHLA-B*5101 が知られており, HLA-A*26 もHLA-B*5101 と独立して関連があることがわが国から報告されている418).2010 年に初めてわが国お よび海外からGWAS が同時に報告され419, 420),その後の報告も含め,IL23R-IL12RB2,IL10,CCR1,STAT4, KLRC4,ERAP1 など多くの遺伝子がベーチェット病の疾患感受性遺伝子として同定されている421-423).しかし,どの遺伝子が血管型,あるいは腸管型,神経型ベーチェット病を特徴づけるかについてはいまだ不明である. 3.1.6 バージャー病 南アジア,東アジア,トルコに多く,中央ヨーロッパ,北米,南米,アフリカに少ない.地域差があるものの,喫煙の関連が深い一方で,遺伝的素因に明らかなものは報告されていない. 3.2 末梢動脈疾患 これまでにいくつかのGWAS が報告されているが,その数は冠動脈疾患に比べると少ない424-428).2015 年のわが国からの報告ではIPO5/RAP2A,EDNRA,HDAC9 が疾患感受性遺伝子として同定され,HDAC9 についてはその後の海外での解析においても関連が確認されている425). 2019 年以降,患者数10,000 人を超えるGWAS が海外から報告されるようになった.2019 年のGWAS では,脂質関連のLDLR,LPL,LPA,CELSR2/SORT1,糖尿病関連のTCF7L2,血栓関連のF5(ライデン変異),喫煙関連のCHRNA3 他,HLA-B,HDAC9,IL6,ABO,CDKN2B- AS1,MMP3,CREB3L1,PTPN11,RP11-359M6.3, COL4A1,SMOC1,LOC732538 の19 遺伝子が同定され,最も関連が強い遺伝子はLPA,そのオッズ比は1.26 であった427).また,2021 年の報告でも同様に,LPA,CDKN2B- AS1,SH2B3/PTPN11,HDAC9,CHRNA3 の5 つとの関連が確認された428).2019 年の報告の19 遺伝子のうちLDLR,LPL,LPA など11 遺伝子は冠動脈疾患および脳血管疾患とも共通であった一方,RP11-359M6.3,HLA-B, CHRNA3,F5 の4 遺伝子は末梢動脈疾患のみに特異的な疾患感受性遺伝子であった.このため,末梢動脈疾患の発症には喫煙(CHRNA3)と血栓(F5)がより強く影響する可能性が示唆された.CHRNA3 遺伝子はニコチン性アセチルコリン受容体のサブユニットをコードし,ニコチン依存性と関連することが知られている429).F5 遺伝子は凝固第5 因子をコードし,その506 番目のアルギニンがグルタミンに置換された変異(p.R506Q)はライデン変異と呼ばれ430),欧米白人における血栓症の主要な危険因子であるが,アジア人にはこの変異は非常に少ない.