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p.70 抽出テキスト

1.3.3 診断

2017 年の国際分類において,病型ごとに診断基準が示されている349).わが国における指定難病の診断基準もこれに準拠している13)(表35 に血管型EDS の診断基準のみを示す).関節型EDS を除き原因遺伝子が同定されているので,遺伝学的検査結果に基づき診断する.原因遺伝子として各種コラーゲンなど巨大な遺伝子が多いこと,病型間また他の遺伝性結合組織疾患との臨床的鑑別がしばしば困難であることから,EDS の各病型の原因遺伝子に加えてMarfan 症候群,Loeys-Dietz 症候群などの遺伝性結合組織疾患の原因遺伝子を搭載したNGS によるパネル解析が有用である349, 351, 352).発端者で病的バリアントが同定されれば,家系内 at risk 者は当該バリアントのみを解析することで診断できる(シングルサイト検査).現在,古典型EDS,血管型EDS の遺伝学的検査は保険償還されている(表36).

1.3.4 心臓血管系の異常

生命や日常生活に関わる重大な血管合併症を生じるのは血管型EDS である.血管型EDS における血管合併症には,動脈破裂・瘤・解離,動静脈瘻(頸動脈海綿静脈洞瘻)がある.動脈破裂は瘤・解離,動静脈瘻に続いて発症することもあるが,自然発生することもある.動脈破裂の部位としては,胸腹部(66%)が多く,頭頸部(17%),四肢(17%)が続く352, 353).

血管型EDS 以外でも心臓血管合併症を生じる.2018 年に出版された系統的レビューでは,467 人中77 人(17%)が血管合併症を発症,合計100 イベントのうち最も頻度が高かったのは血腫(53%,筋拘縮型EDS,古典型EDS に多かった),頭蓋内出血(18%,皮膚脆弱型EDS に多かった),動脈解離(16%,後側彎型EDS に多かった),動脈瘤(5%)が続いた.血管合併症による死亡は8 人(2%)であった354).また関節型EDS では起立性調節障害の,筋拘縮型EDS では先天性心疾患の合併頻度が高い(25%,ASD が最多) 355).

なお,血管型EDS における血管以外の合併症は,消化管破裂(S 状結腸が多い),(血)気胸,筋・腱破裂,先天性内反足などがある.

1.3.5 予後

血管型EDS において,米国の大規模調査では,20 歳までに25% が,40 歳までに80% が合併症を発症,生存期間の中央値は48 歳であった356).約5 ~10% を占めるハプロ不全例では軽症化する傾向にあり,発症時期が遅くなり平均予命が改善する357-359).

1.3.6 循環器検査

血管型EDS では,診断時,定期的また疼痛出現時に造影CT またはMRI による動脈合併症のサーベイランスを行う352, 353).

血管型EDS 以外では,大動脈基部拡張,弁異常(僧帽弁逸脱など)を呈する病型(古典型EDS,心臓弁型EDS,関節型EDS,筋拘縮型EDS)があり,診断時に心エコー

表35 血管型EDS の診断基準(指定難病) Definite を対象とする. A.症状

<大基準> 1. 2. 3. 4. 5.若年性動脈破裂腸管破裂妊娠中の子宮破裂頸動脈海綿静脈洞瘻家族歴<小基準> 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12.易出血性薄く静脈が透見される皮膚顔貌上の特徴特発性(血)気胸末端早老症先天性内反足先天性股関節脱臼小関節の過可動腱・筋肉破裂円錐角膜歯肉後退・脆弱性若年発症静脈瘤B.検査所見

生化学所見:培養皮膚線維芽細胞中のIII型プロコラーゲン産生異常C.遺伝学的検査

COL3A1 などの病的バリアント<診断のカテゴリー>

Definite 1: A 症状のうち2 つ以上を認め

※,Bに該当する場合Definite 2: A 症状のうち2 つ以上を認め

※,C に該当する場合

※大基準,小基準のいずれの項目でも可とする. (Malfait F, et al. 2017 349)を参考に作表)

表36 EDS における遺伝学的検査の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

EDS の確定診断のための遺伝学的検査を行う. I B