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p.7 抽出テキスト

改訂にあたって

「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」の初版が2006 年刊行,2011年に改訂版が発刊,2024 年に今回2 回目の改訂を迎えた.この間,循環器診療について大きな進展があるとともに,遺伝子解析・分析技術の長足の進歩,遺伝学的検査の保険収載が顕著に増加し日常診療においても遺伝学的検査がさらに身近な存在となり,この状況を踏まえた大幅な改訂となった.

この改訂版は,日本循環器学会・日本心臓病学会・日本小児循環器学会との合同での作成という形を取り,日本人類遺伝学会,日本心血管インターベンション治療学会,日本心不全学会,日本不整脈心電学会,日本心臓リハビリテーション学会,日本心臓血管外科学会,日本胸部外科学会,日本血管外科学会の参画を得て,これら参加学会代表者を含めた班員構成を行い,ガイドライン改訂作業を実施した.ガイドライン作成組織構成員のCOI は巻末の付表に掲載した.

本ガイドラインにおいては,初版,第2 版と同様に心臓・血管疾患患者の診療に従事する医療従事者を対象とし,心臓・血管疾患における遺伝学的検査,遺伝カウンセリングに関する基本事項をまとめたものであり,臨床医が遺伝学的検査の適応判断あるいはその実施を決定する際のガイドとなることを目指し作成されている.また今回の改訂では日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」1)や,「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(2023 改訂)」2)に則し,また,遺伝学的検査によって得られる情報は特に慎重な配慮を要する個人情報であることから,個人情報保護法などの法令の趣旨に則するように記述・改訂を実施した.遺伝学的検査を行うにあたっては,検査対象の疾患や病態にかかわらず,この日本循環器学会ガイドラインの総論を参照しつつ,遺伝学的検査を適切に日常診療において活用されることを期待する.

各論においてはこのガイドラインを利用する循環器領域の内科系・外科系を問わず臨床医が各々の疾患・病態および遺伝学的検査,さらに将来臨床応用される可能性のある遺伝学的研究について理解を深めるため,遺伝学的検査が本ガイドライン作成時(2022 ~2023 年)現在において必

ずしも日常診療にまで至っていないものについても,必携知識はもちろんのこと参考にすべき内容について詳述した.がん領域ではがん細胞における体細胞変異について生殖細胞系列細胞とともに分析され,その情報が病態生理・病理学的機序の解明のみならず,薬物治療等の治療戦略に活用されている.循環器領域においてもモノクローナル造血(clonal hematopoiesis of indeterminate potential: CHIP)などの体細胞変異と循環器疾病発症との関係性も近年注目されるところである.しかしこれら体細胞変異に関する事項については他のガイドライン,研究指針などに譲り,本ガイドライン改訂版では従来通り生殖細胞系列のバリアントに限定して取り扱うこととした.また薬物療法に関わる薬理遺伝学は,その遺伝情報が薬効予測,副作用の回避といった観点で利益になることがあっても,疾病診断あるいは罹患リスクの把握を行うことに比してデメリットは無いか非常に少ないため,本ガイドラインでは取り扱わないこととした.人類遺伝学あるいは臨床薬理学からの提言・ガイドラインを参照されたい.

本ガイドラインの最後に,循環器診療において遭遇機会が多い遺伝性疾患における患者・リスクを有する血縁者へのアプローチについて要点を一覧としてまとめた(付表1).是非,診療現場でご活用されたい.

なお,この日本循環器学会ガイドラインにおいては,次の用語を以下の通り定義する.遺伝学的検査:ヒト生殖細胞系列における遺伝子変異もしくは染色体異常に関する検査およびそれらに関連する検査を指す.腫瘍などにおける体細胞バリアント(somatic variant)と対比される.

医療の場において実施される遺伝学的検査には,すでに発症している患者の診断を目的とした検査はもちろんのこと,保因者検査,発症前検査,易罹患性検査,薬理遺伝学検査,出生前検査,先天代謝異常症等に関する新生児マススクリーニングなども包含される.遺伝カウンセリング:患者・家族のニーズに対応する遺伝学的検査の結果,臨床所見・家族歴等の遺伝情報 およびすべての関連情報を提供し,患者・家族がそのニーズ・価