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には,その予測能が向上する299).現時点で国内ではBrugada 症候群に対する保険適用はないが,遺伝学的検査に関する国際的な推奨250, 291)を表30 にまとめる. Brugada 症候群での病的バリアント同定率は低く,ヨーロッパでは30% 程度,わが国では10% 程度とされている298).しかし病的なSCN5A バリアントが同定されていない家系でも遺伝性を呈している場合があり,多因子遺伝性疾患である可能性が示唆されている.それを解明するためにGWAS が実施されている.2013 年に報告されたGWAS 300)では,312 人のヨーロッパ系Brugada 症候群患者でChr.3 にあるSCN5A-10A 領域とChr.6 にあるHEY2領域に関連するSNP が同定され,これらのSNP については208 人の日本人Brugada 症候群でも感受性SNP であることが判明した.さらに2022 年になり,2,820 人のヨーロッパ系Brugada 症候群患者を対象にGWAS を実施したところ,既報のLocus に加え,10 個の新たな座位が同定された.つまり,Brugada 症候群はSCN5A の単一遺伝性疾患の側面と,多因子遺伝性の側面を持つことがわかる.同定されたバリアントにBrugada 症候群との関連に応じて重みづけを行い,PRS として,VF 発症のリスクを評価することが,今後可能になると考えられる. 2.2 カテコラミン誘発多形性心室頻拍 (CPVT) CPVT は運動や興奮を契機に,二方向性または多形性心室期頻拍を発症する疾患である.主な原因遺伝子は心筋リアノジンチャネルをコードするRYR2 であり,CPVT 患者に同定される原因遺伝子バリアントの90% 以上がRYR2バリアントである.変異RYR2 は筋小胞体からの過剰なCa2+ 放出を生じ,遅延後再分極から心室不整脈を発症するとされている.RYR2 以外にも原因遺伝子が報告されており,表31 301)にまとめる.CPVT では遺伝子によって遺伝形式が異なっており,TRDN およびTECRL は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)(autosomal recessive: AR),CASQ2についても,以前はAR のみとされていたが,最近は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)(autosomal dominant: AD)の症例も報告されている302).TRDN とTECRL を原因とするCPVT は非常に稀で,これまでわが国からの報告はない. CPVT についてもClinGen で原因遺伝子の評価が実施され301),RYR2 とAR のCASQ2, TRDN, TECRL が確実, CALM1, CALM2, CALM3 とAD のCASQ2 が中等度, KCNJ2 は否定的とされた.表現型として,RYR2 とCASQ2 バリアント保持者の場合,類縁疾患であるLQTSでみられるQT 延長を生じることはほとんどないが,それ以外の遺伝子においてはQT 延長を合併している場合もあ る.特にKCNJ2 は安静時から心室期外収縮(PVC)が頻発するAndersen-Tawil 症候群の原因遺伝子であり,運動時にのみPVC が頻発するCPVT とは,表現型が異なっていると考えられる. CPVT に同定されるRYR2 バリアントの約半数は新規突然変異であり303),家族性がない場合でも臨床像が典型的なCPVT である場合には,RYR2 バリアントが同定される.またRYR2 のモザイク変異で発症することもあり304),同胞に複数のCPVT 患者がいながら両親に有意なバリアントが同定されない場合には,モザイク変異を疑い検査を勧める必要がある. 2024 年2 月現在,わが国ではCPVT の遺伝子解析は保険適用とされていないが,欧米のガイドラインなどではその有用性が認識されており,臨床的にCPVT と診断された場合には,RYR2 を含めた原因遺伝子のスクリーニングが推奨されている(表32) 250, 291). 表30 Brugada 症候群の遺伝学的検査に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 正常肋間もしくは上位肋間でtype I Brugada 型心電図を自然発生的に,またはナトリウムチャネル阻害薬投与によって生じ,臨床所見または家族歴からBrugada 症候群と診断される症例を対象としたSCN5A に対する遺伝学的検査を行う. I C Brugada 症候群の原因となる変異が同定された症例の家族と血縁者に対する特定の変異に対する遺伝学的検査を行う. I C 表31 CPVT の原因遺伝子 遺伝子遺伝形式RYR2 AD確実CASQ2 AR/AD確実/ 中等度TRDN AR確実TECRL AR確実CALM1 AD中等度CALM2 AD中等度CALM3 AD中等度KCNJ2 AD否定的AD:常染色体顕性遺伝(優性遺伝),AR:常染色体潜性遺伝(劣性遺伝) (Walsh R, et al. 2022 301)を参考に作表)