p.61 抽出テキスト
人:500 >QTc ≧480 ms)場合も検査を考慮とされた286).一方,最近改訂された4 大陸合同指針250, 291)では, Schwartz score を基準に≧3.5 点の確実なLQTS 患者,またはJLN 症候群,Timothy 症候群,Andersen-Tawil 症候群,Triadin 症候群を疑うような患者は遺伝学的検査を強く推奨とされた.しかし先天性LQTS では必ずしも常に表現型を満たすとは限らず,循環器医が強くLQTSを疑う症例についても遺伝学的検査が望ましい.なお検査はLQTS の原因として確実な遺伝子(KCNQ1,KCNH2,SCN5A,CALM1, CALM2,CALM3)が強く推奨されるが,それ以外のLQTS 関連遺伝子(KCNE1,KCNE2,CACNA1c,TRDN)についても症例に応じて検査対象となる(表29). LQTS 疑い例(Schwartz score:1.5 ~3.0 点または12誘導心電図でQTc:460 ~480 msec[未成年],480 ~ 500 msec[成人])も,LQTS の原因として確実な遺伝子について検査してもよい.また若年者における運動やストレス時の意識消失発作やVT・VF の原因としてLQTS の他にCPVT も鑑別に重要である.LQTS とCPVT は症状が類似していることが知られており,若年で有症状(失神発作やVF など)のLQTS 疑い症例に対しては,RYR2 を対象遺伝子に加えてもよい290). LQTS の重症例では0 歳から発作を生じることもある.これまでも発端者に同定されたLQTS の原因遺伝子変異に対する,家系調査は推奨されていたが294),改訂された指針でも家系内の子供に対する予防的な遺伝学的検査は年齢 にかかわらず推奨されている. 1.4 遺伝学的検査 LQTS は遺伝学的検査(D006-4)のうち処理がきわめて複雑なものとして保険収載されている(8,000 点).医療法の改正に伴い,保険診療としてのLQTS の遺伝学的検査は,品質・精度管理に係る基準をクリアした医療機関内の検査室あるいはブランチラボ,または基準を満たす衛生検査所でのみ可能である.また遺伝学的検査は原則として患者1 人につき1 回に限り算定できるが,2 回以上実施する場合は,その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要がある. 1.5 結果の解釈と遺伝カウンセリングの 留意点 LQTS は遺伝型やバリアントの種類から生活指導やリスク評価,内服薬,予後などが推測できる.したがって遺伝学的検査の臨床的有用性について,検査前にきちんと説明し理解してもらうことがその後の生活指導や治療に大変重要である.結果を正しく患者・家族に説明できない場合は,本検査を安易に行うべきではない.検査について十分イン 表28 LQTS の原因遺伝子 遺伝子座位表現型タンパク(機能異常)頻度ClinGen 分類KCNQ1 11p15.5 LQTS, JLNS IKs チャネル (↓) 40 ~55%確実KCNH2 7q35-36 LQTS IKr チャネル(↓) 30 ~45%確実SCN5A 3p21-p24 LQTS Nav1.5 チャネル(↑) 5 ~10%確実CALM1 14q32.11 LQTS L- 型Ca channel (↑) <1%確実CALM2 2p21 LQTS L- 型Ca channel (↑) <1%確実CALM3 19q13.32 LQTS L- 型Ca channel (↑) <1%確実TRDN 6q22.31 Recessive LQTS L- 型Ca channel (↑) <1%可能性大KCNE1 21q22.1 LQTS, JLNS, a-LQTS IKs チャネル(↓) <1% JLNS(確実),aLQTS(可能性大) KCNE2 21q22.1 a-LQTS IKs チャネル(↓) <1% aLQTS(可能性大) KCNJ2 17q23 ATS IK1 チャネル(↓) <1% ATS(確実) CACNA1C 12p13.3 TS, LQTS L- 型Ca channel (↑) <1% TS(確実), LQTS(可能性あり)機能異常: (↓) 機能喪失 or (↑) 機能獲得型. a-LQTS:後天性QT 延長症候群,ATS:Andersen–Tawil syndrome,JLNS:Jervell and Lange-Nielsen syndrome,RWS:Romano– Ward syndrome,TS: Timothy syndrome. (Wilde AAM, et al. 2022 250, 291)より) © The European Society of Cardiology, the Heart Rhythm Society, the Asia Pacific Heart Rhythm Society, and the Latin American Heart Rhythm Society, 2022. CC BY-NC-ND 4.0