GL検索 v0.1.0
画像は 51 ページを描画したものです
page 51

p.51 抽出テキスト

なども認められる.また,Noonan 症候群では心疾患の有無と関連なく左軸偏位および左側前胸部誘導のrS パターンといった特徴的な心電図所見を呈することがあり,診断の一助になる176).

RASopathies であるCostello 症候群ではHCM(60%), PVS(40%),上室頻拍(50%),CFC 症候群ではPVS (45%),HCM(40%),ASD,VSD(20%)を合併する.CFC症候群ではけいれんの頻度が高い(50%)ことも特徴である174, 175).

3 非症候群性先天性心疾患

症候群性と非症候群性を厳密に分けることは難しい.非症候群性として報告されている主な遺伝子の病的バリアント(表16)について概説する.主に転写因子,細胞内シグナル伝達分子,構造蛋白質は,心臓発達の時間的,空間的な制御に必須であり,それらの異常が先天性心疾患の原因となりうる.

3.1 転写因子

ホメオボックス転写因子NKX2.5 の病的バリアントは,房室ブロックを伴うASD 家系の解析から,非症候群性先天性心疾患の原因としてはじめて報告された177).NKX2.5病的バリアントは,VSD,TOF,肺動脈閉鎖,HLHS などでも同定され,房室ブロックを伴うことが特徴である178-182). NKX2.5 のホメオドメインの病的バリアントがASD,それ以外の部位の病的バリアントはTOF の原因となることも報告されている183).先天性心疾患におけるNKX2.5 病的バリアントの同定により,完全房室ブロックの進行や心臓突然死のリスクに留意して管理を行うことが可能になる.

ジンクフィンガードメインと転写活性化ドメインを特徴とするGATA ファミリーであるGATA4,GATA5,GATA6の病的バリアントは,さまざまな先天性心疾患で同定されている.GATA4 病的バリアントはASD,VSD,AVSD, PVS,TOF で同定されている184-187).また,GATA5 病的バリアントはBAV,VSD,TOF,DORV などで,GATA6 病的バリアントはPTA 188),TOF,DORV,TGA,ASD,VSD, PVS で同定されている189, 190).またGATA6 は,心臓以

外に膵臓,横隔膜の発生にも関与することが示されている191).

T-box ファミリー転写因子では,TBX1 とTBX5 の病的バリアントが,各々22q11.2 欠失症候群,Holt-Oram 症候群の他,TOF や心中隔欠損などの非症候群性の先天性心疾患でも同定されている192-194).また,TBX20 病的バリアントは,非症候群性のVSD,TOF,僧帽弁狭窄症,DCMで認められている195-197).

3.2 細胞内シグナル伝達分子

細胞内シグナル伝達分子であるNOTCH は,心室や弁の発生に関与する細胞の分化に重要であり,非症候群性先天性心疾患の原因にも関連している198, 199).NOTCH1 の病的バリアントは,大動脈弁疾患の家系で最初に同定され200),BAV,AS,CoA,HLHS などの左心系閉塞性疾患の他,TOF などでも報告されている201).

左右軸決定を制御する細胞シグナル伝達分子NODALの遺伝子の病的バリアントは,内臓錯位症候群だけでなく, TGA,DORV,TOF,VSD などの非症候群性先天性心疾患でも報告されている202, 203).NODAL の制御を受けるFOXH1,CFC1,GDF1 などの遺伝子の病的バリアントも,種々の先天性心疾患で同定されている204-207).

3.3 心大血管構造蛋白

心筋サルコメアおよび細胞外マトリックスを構成する構造蛋白は,心筋の構造と機能維持に必須である.心筋サルコメア遺伝子の病的バリアントは心筋症の原因であるが,一部は非症候群性の先天性心疾患とも関連している. MYH6 の病的バリアントは,HCM,DCM の他,ASD の家系でも同定されている208, 209).MYH7 の病的バリアントは,Ebstein 病や左室心筋緻密化障害と関連している210, 211).また,ACTC1 の病的バリアントも,心筋症の他ASD の家系で212, 213),MYH11 の病的バリアントは,PDAおよび胸部大動脈瘤の家系で同定されている214).

細胞外マトリックスであるELN のハプロ不全は,Williams 症候群の原因であるが,非症候群性のSVAS やPVSで,ELN の病的バリアントが報告されている116).