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p.49 抽出テキスト

呈する.後部胎生環(約70%),網膜色素変性などの眼科的疾患も特徴的である.約90% に先天性心疾患を合併し,肺動脈とその分枝,肺動脈弁の狭窄病変が多い.

2.2 CHARGE 症候群

2.2.1 疾患概念

胎生期の神経堤細胞由来の間葉組織に発現するCHD7タンパク質の異常で,他の遺伝子発現調節が障害され,多臓器に異常をきたす常染色体顕性遺伝(優性遺伝)疾患.

2.2.2 頻度

出生12,000 人に1 人.

2.2.3 遺伝的要因

典型的な臨床症状を呈する大半の症例で,染色体8q12.1 に座位するCHD7(chromodomain helicase DNA-binding protein-7)遺伝子の病的バリアントを認め,大部分が孤発性である.CHD7 は2 個のN-terminal chromodomain(chromatin organization modifier), SWI2/SNF2-like ATPase/helicase domain,DNA-binding domain をもち,クロマチン構造変化を介して多くの遺伝子発現に影響を与える.CHD7 は,クラス3 セマフォリン(Sema3C など)の発現を制御すること,Tbx1 と相互作用すること,p53 を抑制することが報告され,胎生期に重要な役割を果たすと考えられている163-165).また,Chd7 病的バリアントをもつCHARGE 症候群モデルマウスの解析により,CHD7 がセマフォリンやエフリン受容体などの神経堤細胞や神経軸索の発生に関与する多くの遺伝子を制御することが示唆されている166, 167).CHARGE 症候群の臨床症状は多彩であり,遺伝子型と表現型の相関は明らかではない167).遺伝子検査は保険収載されており,公益財団法人かずさDNA 研究所・かずさ遺伝子検査室28)が受託している.

2.2.4 症状・予後・管理

コロボーマ(coloboma:虹彩,網膜,乳頭の欠損),先天性心疾患(heart defects),後鼻孔閉鎖(atresia choanae),成長障害および精神発達遅滞(retarded growth and development:軽度から重度まで,無嗅脳を合併することもある),外陰部異常(genital anomalies),耳介変形・難聴(ear anomalies:小耳,カップ状耳,垂耳)の頭文字をとって命名された.その他,口唇口蓋裂,多発脳神経異常,哺乳困難,鼻咽頭機能不全,泌尿器系異常,臍帯ヘルニア,気管食道瘻,肋骨・脊柱異常,第2・3 指間手掌の深い溝

(ホッケースティック様手掌線),下垂体性・視床下部性腺機能不全,成長ホルモン分泌不全などを合併する.特徴的な耳介,手掌線の形態は診断の端緒になる.経管栄養,補聴器,気管切開術などの管理を要することが多い.先天性心疾患の合併頻度は,75 ~80% で,VSD,ASD が多く,次いでAVSD,TOF,CoA,完全大血管転位(transposition of great vessels [arteries]: TGA)なども認められる151, 168).

2.3 Holt-Oram 症候群(心臓- 手症候群)

2.3.1 疾患概念

母指,橈骨側優位の上肢異常と先天性心疾患を主徴とする常染色体顕性遺伝(優性遺伝)疾患.

2.3.2 頻度

出生100,000 人に1 人.

2.3.3 遺伝的要因

T-box 型転写因子をコードするTBX5 遺伝子(12q24)の病的バリアントが原因で,DNA 結合ドメインに集積する傾向がある.病的バリアントによるDNA 結合能の低下,転写活性能の低下,他の心臓発生に必須の転写因子NKX2.5 やGATA4 との相互作用の障害,核内移行の障害などが起こることが報告されている169, 170).臨床的に本症候群類似の症状を呈するが,腎臓,足,顔,脊椎,気管など,上肢および心臓以外に異常を有する症例では,TBX5病的バリアントの検出率は低い.遺伝子検査は研究室レベルでのみ行われている.

2.3.4 症状・予後・管理

拇指異常,橈骨欠損など,上肢内側の骨の異常による上肢低形成が特徴的である.多くは両側性で,下肢の異常はない.精神発達遅滞は認められない.75% に心疾患を合併し,ASD,VSD が多い.しばしば刺激伝導系の異常を伴う.出生時から洞性徐脈や1 度房室ブロックを呈することがあり,完全房室ブロックへの進行や,AF の合併も認められる171).

2.4 歌舞伎症候群

2.4.1 疾患概念

遺伝子発現制御に関わるメチル化酵素,脱メチル化酵素