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p.46 抽出テキスト

社で行われている.

1.6.3 発生頻度

出生女児2,000 ~2,500 人に1 人.

1.6.4 遺伝的原因

X 染色体1 本の完全欠失または短腕(Xp)端部を含む部分欠失による.約50% がX 染色体完全欠失(45,X)で, 25% が45,X/46,XX,45,X/47,XXX などのモザイク, 20% が同腕染色体や環状染色体などのX 染色体の構造異常による148).欠失や構造異常は父の精子由来が多い.トリソミーと異なり,父や母の年齢の上昇と本症候群発生の相関は明らかにされていない.X 染色体のうちの1 本は不活化されるため,X染色体上の遺伝子は正常でも1 コピーの発現であるが,X染色体短腕末端(Xp22.3)の偽常染色体領域(pseudoautosomal region 1: PAR1)内の遺伝子は不活化を免れ,本来2 コピー発現であるところ1 コピー発現にとどまり,ハプロ不全から臨床症状を呈する.

1.6.5 再発率

45,X 女性は性腺異形成による原発性性腺機能不全のため不妊を呈することが多い.Turner 症候群の約5% に自然妊娠を認めたという報告や45,X でも自然妊娠を認めたという報告がある149).

1.6.6 出生前診断

妊娠中期の胎児超音波検査で,NT 肥厚を認めた場合, Down 症候群,18 トリソミー,13トリソミーの他,Turner症候群が疑われ,夫婦の希望があれば羊水や絨毛を用いた染色体検査が考慮される.馬蹄腎や左心系閉塞性心疾患を認めた場合にもTurner 症候群の可能性がある.

1.6.7 原因遺伝子

PAR1 上のSHOX 遺伝子は軟骨の成長に関与し,そのハプロ不全が低身長の主な原因である.また,X 染色体短腕上のPAR1 とは別の部位にも不活化を免れる遺伝子の存在が推測されており,matrix metalloproteinase 阻害因子をコードするTIMP1 遺伝子のハプロ不全が,Turner 症候群に伴う大動脈二尖弁(bicuspid aortic valve: BAV),大動脈拡張や瘤形成に関与するという報告がある150).また, X 染色体の欠失や構造異常のため,減数分裂時の相同染色体対合不全や非特異的な分裂障害を起こす機序も推測されている148). 1.6.8 症状・予後・管理

a.Turner 徴候

翼状頸,外反肘,毛髪線低位,楯状胸,第4 中手骨短縮,足背・手背の浮腫.先天的なリンパ管低形成の関与が示唆されている. b.低身長

Turner 症候群女性の最終平均身長は,正常核型女性より約20cm 低く148),思春期の成長加速を認めない.成長ホルモン補充療法が有効である. c.性腺機能不全

二次性徴出現の遅れや,無月経を認める.減数分裂時の相同染色体対合不全により,卵母細胞が障害,喪失することにより性腺機能不全を生じる148).性成熟の誘導,骨粗鬆症予防のため,女性ホルモン補充療法が有効.思春期年齢からのエストロゲン製剤の経口投与により二次性徴を誘発し,その後Kaufmann 療法による月経誘導を行う. d.先天性心疾患(30 ~40%)

CoA(10 ~15%),BAV(25 ~30%),大動脈拡張(20 ~30%),大動脈弁狭窄(AS) (10%)などの左心系の異常が多い.翼状頸などリンパ管低形成による徴候を伴うことから,リンパ流の阻害が左心系閉塞性疾患の原因であると推測されているが,X 染色体上のリンパ管形成遺伝子は同定されていない151).ASD や部分肺静脈還流異常(特に左上肺静脈)もしばしば認められる.

Turner 症候群成人女性は,高血圧,冠動脈疾患,大動脈解離のリスクが高く,特に大動脈解離については,30 歳代でも認められ152),非Turner 症候群より100 倍リスクが高いと推測されている148).大動脈拡張に伴う大動脈解離のみならず,拡張がない若年女性であっても解離が起こりうると報告されており152),大動脈拡張のない症例で5 年に1 回,大動脈拡張がある場合は毎年1 回の画像評価が推奨されている148).

大動脈病変部組織では,Marfan 症候群と同様に囊胞性中膜壊死が認められる症例があるが,明らかな所見がない場合もある152).Turner 症候群成人女性の50% に若年から高血圧を認めるが,その機序は不明である153). e.腎臓疾患(25 ~40%)

馬蹄腎が最も多く(10%),重複腎盂・尿管,無形成腎などがある.