p.45 抽出テキスト
1.5.3 発生頻度 5,000 ~12,000 人に1 人.出生児の中で,Down 症候群, 18 トリソミーに次いで,3 番目に発症頻度が高い常染色体異常.人種差なし. 1.5.4 遺伝的原因 a.標準型13 トリソミー(約80%) 配偶子形成過程の減数分裂時の染色体不分離が原因で,母由来が90%.第1 減数分裂での不分離が多い.母体年齢とともに増加する傾向にあるが,個々の症例における原因は不明である. b. 転座型(約5 ~20%) 他のトリソミーに比して転座型が多い.端部着糸型であるグループD(13,14,15 番)染色体もしくはグループG (21,22 番)染色体との転座で,13;14 Robertson 転座が主. c. モザイク(稀) d. 部分トリソミー 13q 遠位部部分トリソミー(13q14 →qter),13q 近位部部分トリソミー(13pter →q14)があり,いずれも著明な精神発達遅滞を呈する.生命予後は標準型よりよい145). 1.5.5 再発率 0.5 ~1% . 1.5.6 出生前診断 妊娠中期の胎児超音波検査で,13トリソミーを示唆する所見として,全前脳胞症,口唇口蓋裂,多指症,小頭症,舟底足,小眼球症,頭皮・頭蓋骨の部分欠損,臍ヘルニアなどがある.子宮内胎児死亡が多い.超音波検査による診断が契機であることが多い.母体血清トリプルマーカーでは診断できないが,NIPT で13トリソミーの可能性が診断可能.確定診断には羊水検査が必要である. 1.5.7 症状・予後・管理 a. 心疾患 約90% に先天性心疾患を合併する.ASD,VSD, PDA,TOF が主136).18 トリソミーに比して,弁疾患の合併は少ない.心疾患が新生児期の致死的合併症であることは少ないが,早期に肺高血圧が進行する136).18トリソミーと同様に,生命予後不良の疾患であるため,従来は心臓手術が控えられていたが,姑息術や心内修復術を行う施設が増加している. b. 心臓手術の適応 心外合併症の重症度,家族の意思を考慮して手術の適否を決める必要がある.近年,心内修復術後の生存例の報告 も増加しており,米国の13トリソミーの心臓手術30 症例の調査では,術後遠隔期の生存期間(中央値)は14.8 年であった139).18 トリソミーと同様に,単純型心疾患の手術については,非トリソミーの場合より約10 倍死亡率が高いこと139),術前の人工呼吸管理を要した症例で術後の死亡率が高いと報告されている141).家族に対して,手術の生命予後改善効果とともに,手術に伴う生命のリスクが高いことを伝える必要がある142). c. その他の症状i.中枢神経疾患 全前脳胞症,無嗅脳症,けいれん,重度精神発達遅滞. ii.頭頸部症状 前額傾斜を伴う小頭症,頭皮および頭蓋骨の欠損,小または無眼球症,虹彩欠損,網膜異形成,耳介変形,耳介変形・低位,口唇口蓋裂. iii.骨格系症状 多指症,合指症,指の重なり,舟底足. iv.呼吸器疾患 喉頭・気管軟化症,無呼吸発作(新生児期,乳児期の主要な死因). v.消化管疾患 臍帯ヘルニア,胃食道逆流,腸回転異常,膵炎(異所性膵組織,膵管合流異常等). vi.泌尿生殖器疾患 停留精巣,双角子宮,多嚢胞腎. vii.内分泌疾患 甲状腺機能低下症,遷延性低血糖. viii.血液疾患 多核白血球の小突起増加,過分葉,ヘモグロビンF (HbF)高値. 18 トリソミーと同様に,集学的治療により近年では生存率が改善している可能性があり,個々の症例に応じた柔軟な対応が求められるようになっている146, 147). 1.6 Turner 症候群 1.6.1 疾患概念 最も頻度の高い性染色体異常.低身長,性腺異形成性による原発性無月経,特徴的な骨格,軟部組織,内臓所見を伴う症候群. 1.6.2 診断 染色体検査(G 分染法).検査は保険収載され,検査会