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p.42 抽出テキスト

13 週の胎児超音波検査におけるNT 肥厚は,Down 症候群,18 トリソミー症候群,13 トリソミー症候群,Turner症候群(45,X など)などの染色体異常症や先天性心疾患などで認められる125).

母体の血清マーカーテストは,妊娠15 ~18 週に母血清中のAFP(αフェトプロテイン),uE3(非抱合型エストリオール),hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の濃度分布と母年齢をもとに,Down 症候群の可能性を推測する検査(トリプルマーカーテスト:Down 症候群 ではAFP 低下,非抱合型E3 低下,hCG 増加の傾向を示す)である125).母体血液中に混入する胎児DNA を用いたNIPT も用いられている.

超音波所見や血液検査の異常は推定に過ぎないため,羊水または絨毛細胞の染色体分析による確定診断を行う必要がある.

1.3.7 症状・予後・管理

外表異常として,短頭症,短頸,眼間開離,内眼角贅皮,眼瞼裂斜上,小耳,平坦な鼻根部,巨舌,歯牙形成異常,幅広い手,第2,5 中手骨短縮,第5 指内反,扁平足,第1,2 趾間開大などがある.新生児・乳児・小児期の症状として,筋緊張低下,関節可動域開大,精神運動発達遅滞,低身長が認められる123, 124).

40% に先天性心疾患を認め,わが国の報告では,その内訳はVSD(37%),房室中隔欠損(atrioventricular septal defect: AVSD) (30%),動脈管開存(patent ductus arteriosus: PDA) (11%),心房中隔欠損(atrial septal defect: ASD) (10%),TOF(7%)の順に頻度が高い126).出生後, Down 症候群が疑われた場合は,直ちに心臓超音波検査が勧められる. a.心室中隔欠損症(VSD)

日本の報告では,VSD の頻度が最大とするものが多い.流入部型VSD が多い.左右短絡に伴う肺高血圧の進行が早く,肺高血圧合併例は生後3 ~4 ヵ月までに心臓手術を行う.ASD やPDA を合併する頻度が高い. b.房室中隔欠損(AVSD)

欧米の報告では最も頻度が高く,日本の報告では2 番目に頻度高い.完全型,不完全型(一次孔欠損),中間型に分類される.完全型AVSD ではRastelli 分類A 型の共通房室弁の形態が多く,Down 症候群でもA 型の頻度が高い.Rastelli C 型は,非Down 症候群では稀だが,Down症候群で多いのが特徴である.

また,Down 症候群ではAVSD とTOF の合併がみられる127).完全型では肺高血圧の進行が速いため,生後4 ヵ月以内の手術が望ましい.AVSD では,房室中隔が欠如しているため,共通房室弁となり,弁閉鎖不全を合併するこ

とが多い.不完全型AVSD では,血行動態的にはASD と同じで,成長を待って手術を行う.共通房室弁では,左側房室弁(僧帽弁に相当)の裂隙を伴い,術後もしばしば房室弁逆流が残存する. c.動脈管開存(PDA)

肺高血圧の進行は一般群に比して早い. d.心房中隔欠損(ASD)

二次孔欠損が主. e.Fallot 四徴症(TOF)

AVSD を合併することがあり,Down 症候群に特徴的である. f.弁膜症

小児期に明らかな心疾患を認めない例も,成人期に僧帽弁逸脱や大動脈弁閉鎖不全を発症する頻度が高い128).感染性心内膜炎の予防が必要となる. g.肺高血圧

わが国の全国調査では,先天性心疾患をもつDown 症候群の38% に肺高血圧が合併すると報告されている129).また,早期に肺血管閉塞性病変が進行することが知られており,先天的・後天的な肺血管床の低形成,血管作動性因子の不均衡,血管再生機構の破綻などの機序が考えられている.

一方,VSD,AVSD の肺動脈の病理組織の検討では, Down 症候群と非Down 症候群で形態的な差を認めず,肺血管閉塞性病変は年齢,肺動脈圧と相関するという報告もある115).また,Down 症候群では,心疾患修復術後に肺動脈圧が発作性に上昇し,循環不全を呈する肺高血圧クリーゼを合併することが多く,注意を要する(VSD 術後症例:Down 症候群1.1% vs 非Down 症候群0.2%) 130). h.その他の症状123, 124) i.眼疾患

近視(70%),斜視(45%),眼振(35%),白内障(成人期30 ~60%). ii.耳鼻科的疾患

難聴(66%),滲出性中耳炎(60 ~80%). iii.消化管疾患

12% で先天性十二指腸閉鎖,鎖肛,Hirschsprung 病,輪状膵,便秘. iv.内分泌疾患

甲状腺機能低下症(10 ~40%),甲状腺機能亢進症,糖尿病,小陰茎,停留精巣. v.血液疾患

一過性骨髄異常増殖症(10%,GATA1 遺伝子異常),急性白血病(2 ~3%,急性巨核芽球性白血病が特徴的).一