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p.41 抽出テキスト

棘の異常を認め,視空間認知障害きたす117).

1.2.8 症状・予後・管理

子宮内発育遅延を伴う成長障害,精神発達遅滞,顔貌上の特徴(太い内側眉毛,眼間狭小,内眼角贅皮,腫れぼったい眼瞼,鞍鼻,上向き鼻孔,長い人中,厚い口唇)を認める.過剰に陽気で多弁な性格が特徴的で,言語発達,記憶力は良好なことが多い.

エラスチン異常による全身の動脈狭窄性病変を75% に認め,SVAS,PPS が特徴的である.通常前者は進行性,後者は自然軽快する.冠動脈狭窄が原因となり118),一般人口に比して25 ~100 倍突然死のリスクが高いという報告がある119).全身麻酔や鎮静と心停止の関連も報告されており120),心臓カテーテル検査や手術の際は注意が必要である.その他,高カルシウム血症(機序不明)

121)(15%),

高血圧(40%),泌尿器疾患(尿路結石,膀胱憩室,膀胱尿管逆流など)を合併する.腎動脈狭窄による腎血管性高血圧の鑑別が必要.

成人期には,幼児期の丸顔から面長,長い首に顔貌が変化する.平均の最終身長は-2 SD 程度となる.知的障害や視空間認知能力の障害により,社会的に自立できないことが多い.不安障害もしばしば認められる.先天性心疾患に加え,高血圧,脳血管障害,慢性便秘,肥満,耐糖能異常が合併する.加齢により精神神経症状,高血圧の頻度が増し122),治療,社会的支援が必要になる.

1.3 Down 症候群

1.3.1 疾患概念

21 番染色体の過剰(21トリソミー)に起因する先天異常症候群.

1.3.2 診断

染色体検査(G 分染法,または21 番染色体プローブを用いたFISH 法).検査は保険収載され,検査会社で行われている.

1.3.3 発生頻度

出生児の中で,最も発生頻度が高い染色体異常で,一般に出生700 ~1,000 人に1 人とされ,母体年齢とともに増加する(15 ~29 歳:1500 人に1 人,30 ~34 歳:800 人に1 人,35 ~39 歳:270 人に1 人,40 ~44 歳:100 人に1 人,45 歳以上:50 人に1 人)

123). 1.3.4 遺伝的原因124)

21 番染色体(責任領域21q22.3)トリソミーによる. a.標準型21 トリソミー[47,XY,+21 または47,XX,+21]:92.5%

孤発例が多い.母親年齢の影響が大きいとされるが,個々の例における原因は不明である.減数分裂時の染色体不分離により,約90% で母由来の21 番染色体が過剰であり,そのうちの70% は第1 減数分裂時の不分離に由来する.残りの10% は父由来の21 番染色体過剰であり,第1および第2 減数分裂時の不分離の頻度はほぼ同じである. b.モザイク[46,XY/47,XY,+21 または46,XX/47,XX,+21]:2.5%

孤発例が多い.トリソミー細胞と正常細胞が混ざっている状態で,体細胞分裂時の染色体不分離によると考えられている.各臓器のトリソミー細胞の比率により表現型は修飾される. c.転座型:5%

孤発例もしくは両親のどちらかが転座保因者.過剰な21番染色体は,端部着糸型であるグループD(13,14,15 番)染色体もしくはグループG(21,22 番)染色体に転座(Robertson 型転座)している頻度が高い.t(14q;21q),次いでt (21q;21q)が多い.Robertson 型転座では,長腕同士が動原体近傍で結合し短腕を喪失するが,短腕はごく短いため臨床的には問題にならない.

1.3.5 再発率

a.発症者が標準型21 トリソミーの場合

約1% とされる123, 124).母親の次子妊娠時の年齢上昇にも影響される. b.発症者が転座型の場合

両親のいずれかが均衡型Robertson 型転座保因者である可能性があり,再発率予測のため,染色体検査が勧められる.約50% の症例で両親のいずれかが均衡型Robertson型転座保因者であり,残りの50% は孤発性である.再発率については,経験的に母が均衡型Robertson 型転座保因者の母が保因者の場合に約10 ~15%,父が保因者である場合に約1 ~5% とされる.発端者の核型がt(21q;21q)の場合,両親のいずれかが均衡型Robertson 型転座保因者である確率は3% 以下であるが,保因者であれば再発率は100% である.

1.3.6 出生前診断

第1 子がDown 症候群の妊娠の場合,高年妊娠の場合,夫婦の希望があれば出生前診断が考慮される.妊娠11 ~