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く.児の発達段階とともに変化する主介護者との関係性に応じた移行支援も,遺伝カウンセリングの適応支援の一端といえる. 2.6 血縁者の遺伝カウンセリング 遺伝性循環器疾患はactionability が高く,早期からの介入による医学的メリットが大きい.特に,疾患原因遺伝子が明らかな疾患で,さらに患者に明らかな病的バリアントが見つかっている場合には,その病的バリアントを血縁者が有しているかどうかを遺伝学的検査(cascade screening)によって診断し,たとえ未発症であってもリスク状態を確定し,リスクに応じた予防戦略を提示することができる. cascade screening とそれに基づく心臓血管系サーベイランスは,費用対効果を含め有用性が高い62, 63)が,その運用には留意点が指摘されている.cascade screening とその後のサーベイランスの受検率には,家族への影響について遺伝カウンセリングが実施されるか64, 65),cascade screening後のサーベイランスの有用性や家族内でのコミュニケーションに関する教育が十分になされるか66),患者を介するのみでなく血縁者に直接遺伝カウンセリングを継続して実施されるか67)が影響する. また,遺伝医療提供者によって,cascade screening の推奨に関する積極性にはばらつきが大きく,コンセンサスを形成していく必要がある68).その他にも,原疾患の遺伝学 的リスクにおける不確かさの大きさもcascade screening の実施に影響し,DCM 患者においては遺伝カウンセリングおよびcascade screening とサーベイランス実施率が他の遺伝性心疾患と比して低い傾向がある44, 69). cascade screening の有用性は明らかであるが,患者が血縁者に伝えることを強制されたように感じたり70),血縁者の再発リスクが遺伝学的検査によって確定することに対して心理的な負担を抱えたりする可能性44)へ配慮しながら進める必要がある.また,cascade screening の結果,患者と同じ病的バリアントを持たないことが判明した場合でも, cascade screening を受けるまでに不確かさに苛まされていた血縁者においては,リスク認識をすぐには更新することが難しく,不必要なリスク管理行動をとろうとすることもある点にも留意が必要である71). 発端者の情報から,特徴的な病態や家族歴等から遺伝性の循環器疾患が疑われる場合には,遺伝学的検査で有意な結果が得られなくとも,予防的介入を血縁者に対して実施することも検討しなければならない.たとえ家族歴がない場合でも,血縁者の心臓血管系スクリーニングで病変が見つかることは稀ではなく72, 73),遺伝要因の関与が重視されている疾患においては遺伝学的検査の実施可否にかかわらず,家系内の再発リスクについて患者に情報提供し,遺伝カウンセリングの提供を検討することが望ましい74). 第6章 周産期における対応 1 心臓血管疾患をもつ女性における 妊娠前遺伝カウンセリングの概要 医療の進歩により,心臓血管疾患の予後は著明に改善している.これに伴い,心臓血管疾患を有する妊娠可能な女性の数は年々増加している.中でも,これまで成人期に達することの少なかった複雑心臓血管疾患の患者群が増加している75).妊娠時は非妊娠時と比べて,循環血液量の増加,血管壁 の脆弱化,凝固因子量の増加による血栓傾向などにより,さまざまな合併症が発症しやすくなる.こうした妊娠による変化が母体心疾患に及ぼす影響や胎児・新生児への影響,長期的な予後への影響,また妊娠特有の合併症が発症した場合の対応など,多くの問題が発生する可能性がある.さらに,児への遺伝的な影響,妊婦自身の遺伝性疾患の重症度も考慮しなければならない.これらの問題点を整理し,できれば妊娠前から医療者と患者との十分な話し合いの機会を持つことが重要である.