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p.27 抽出テキスト

学的検査の実施を伴わない遺伝カウンセリングは医療保険が適用されない.また,遺伝学的検査が保険適用となる循環器疾患は限られており,自費での遺伝学的検査を実施した場合には遺伝カウンセリングも自費となる.これらの制度上の問題点を解決することも,重要な課題である.

2.3 遺伝医療専門職

遺伝医療専門職は,疾患の治療にあたる各診療科や関連職種と協力し,患者や家族に,遺伝医療(遺伝学的検査・診断,遺伝性疾患マネジメント,遺伝カウンセリング,遺伝看護)を提供する.日本で認定されている主な遺伝医療専門職の資格として,臨床遺伝専門医,認定遺伝カウンセラー,遺伝看護専門看護師がある.遺伝性循環器疾患患者とその家族への医療を提供するにあたっては,循環器専門医療の提供と並行して,遺伝医療専門職への紹介と協働を考慮する.

2.3.1 臨床遺伝専門医

臨床遺伝専門医は,表12 46)に定める行動目標が設定された,日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定している専門医資格である.臨床遺伝専門医は,日本専門医機構の定める基本的領域の学会の専門医(認定医),あるいは臨床遺伝専門医制度委員会が認める専門医(認定医)である医師が,認定研修施設での3 年以上の研修等の条件を満たしたのち,認定試験を経て認定される*. 2023 年12 月現在で1,725 人が活動している.詳細は臨床遺伝専門医制度委員会のウェブサイトを参照されたい47).

臨床遺伝専門医は,臨床遺伝学的な診察・検査をもとに,遺伝性疾患を診断(および家系内のat risk 者を同定)し,その遺伝性疾患の特徴に合わせた臓器横断的なマネジメント計画を立案し,関連科・関連職種と協力して診療・ケアを提供することを役割とする.患者やat risk 者の治療,リスクマネジメントにあたっては,循環器専門医と,臨床遺伝専門医が密に連携することが望ましい.

2.3.2 認定遺伝カウンセラー**

臨床遺伝専門医と同様に,日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定している.遺伝カウンセリングを専門職能とし,統一の到達目標(表13)

48)が設定

された修士課程(一部博士課程)に設置された養成課程を修了し,認定試験を経て認定される.認定遺伝カウンセラーは,遺伝医療を必要としている患者や家族に適切な遺伝情報や社会の支援体勢等を含むさまざまな情報提供を行い,心理的,社会的サポ-トを通して当事者の自律的な意思決定を支援することを役割とする.遺伝医療が予防・治療と密接に関連する循環器領域においては,疾患の発症・進展予防を目的とした行動変容支援の役割も担う.

2.3.3 遺伝看護専門看護師

専門看護師は,特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを日本看護協会により認定された看護師である.特定の専門看護分野について大学院修士課程を修了し,かつ実務経験5 年以上(うち3 年以上は認定されようとする専門看護分野)を経て,認定審査にて認定される.専門看護分野として,がん看護,精神看護,地域看護等14 の分野が特定されている.遺伝看護の特徴として,「対象者の遺伝的課題を見極め,診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL 向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い,世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する.」(日本看護協会) 49)ことが挙げられている.遺伝看護は,2017 年より認定が始まった新しい分野であり,2023年12 月現在24 人が遺伝看護専門看護師として認定されている.専門看護師は,ケアとキュアを融合した看護実践

*  2023 年12 月現在では,日本専門医機構のサブスペシャリティ領域としては未認定. ** 認定遺伝カウンセラーは日本遺伝カウンセリング学会と

日本人類遺伝学会によって商標登録されており,類似の名称を用いて遺伝カウンセリングに係る役務を行うことはできない.2023 年12 月現在で389 人が活動している.

表12 臨床遺伝専門医の行動目標

1.基本的態度:遺伝医療の意義,必要性を認識し,その認識に基づいた実践ができる. 2.臨床遺伝学的知識:十分な臨床遺伝学的知識を有している. 3.臨床遺伝学的診察:遺伝学的診療およびケアを適切に提供できる. 4.遺伝学的検査:適切な遺伝学的検査の実施について管理できる. 5.遺伝学的マネジメント:遺伝学的診療におけるマネジメント計画を立てることができる. 6.遺伝診療における倫理:遺伝医学の持つ倫理的側面を意識し,実践できる. 7.遺伝学的研究:遺伝学的研究,トランスレーショナルリサーチに関与できる. 8.遺伝教育:遺伝教育に積極的に関与できる. 9.コミュニケーション能力:遺伝医療の実践に必要なコミュニケーション能力を有している. 10.医療システムにおける遺伝医学:医療システムと遺伝医学の関係を理解している. (20221201 臨床遺伝専門医行動目標46)より改変)