p.22 抽出テキスト
院間契約,検査会社への検体搬送業務委託を通じ,一部施設から外部受託が行われている. 2.3 NGS を用いた遺伝学的検査の詳細 2.3.1 基本的考え方 遺伝学的検査を提供するうえで,その分析的妥当性・臨床的妥当性・臨床的有用性を考慮することが必要である.分析的妥当性とは,精度管理が適切に行われ,再現性の高い結果が得られるなど検査法が確立していることを示す.臨床的妥当性とは,疾患があるときの病的バリアント検出率(感度),疾患がないときの病的バリアント非検出率(特異度),病的バリアントが検出されたときの疾患保有率(陽性的中率),病的バリアントが検出されなかったときの疾患非保有率(陰性的中率)など検査結果の臨床的意味付けが十分になされていることを示す.臨床的有用性とは,検査対象疾患の診断がつけられることにより,適切な検診・予防・治療につながるなど診療上のメリットがあることを示す. 2.3.2 パネルの設計 カスタムパネルを使用する場合,パネルの作成,すなわち,検査の対象となる遺伝子の選定には,特定の疾患に当該遺伝子が関与しているという根拠が重要であり, ClinGen Gene-Disease Validity 32)などが参考にされる33).保険収載遺伝学的検査は2008 年の診療報酬改定において13 疾患で認められ,2 年ごとの改定で増加し,2022 年度の改定により201 疾患となっている.表9 に,遺伝学的検 査が保険収載されている遺伝性循環器疾患のリストを示す.衛生検査所では,HCM 以外の遺伝学的検査が実施されている.信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターでは,HCM を含め保険収載された遺伝性循環器疾患および保険未収載であるが臨床的有用性の高いDCM,不整脈原性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy: ARVC),CPVT,Brugada 症候群,遺伝性肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension: PAH)の遺伝学的検査が実施されている(非保険にて).なお,疾患ごと解析する遺伝子は,指定難病の診断基準を参考に選択されている13). 図2 遺伝学的検査ワークフロー遺伝学的検査オーダーから結果返却まで 匿名化解除結果返却採血匿名化 報告書作成DNA 抽出 検証会議検証解析次世代シーケンス オーダー 電子カルテ 表9 遺伝学的検査が保険収載されている遺伝性循環器疾患 の一覧カテゴリー(保険点数)疾患名(遺伝性循環器疾患,心臓血管症状を呈する遺伝性疾患を含む)容易(3,880 点) Fabry 病,Pompe 病,家族性アミロイドーシス複雑(5,000 点)肥大型心筋症,家族性高コレステロール血症,CFC 症候群,Costello 症候群, Osler 病,先天性プロテインC 欠乏症,先天性プロテインS 欠乏症,先天性アンチトロンビン欠乏症極複雑(8,000 点)先天性QT 延長症候群,Noonan 症候群,Marfan 症候群,Loeys-Dietz 症候群,家族性大動脈瘤・解離,Ehlers- Danlos 症候群(血管型),Ehlers- Danlos 症候群(古典型),ミトコンドリア病