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p.21 抽出テキスト

法より容易に解析でき,迅速な結果報告が可能である.

臨床においては,以下の2 点に注意し,検査依頼および結果解釈を行う必要がある.

1FISH 法の解像度には限界があり,構造異常のサイズによっては検出不可能なものもあること.

2FISH 法による診断を行った場合,臨床症状の推測がどこまで可能であるか,臨床的有用性に関する検討が必要であること.

2 遺伝学的検査の実施体制

2.1 はじめに~遺伝学的検査の体制~

遺伝性循環器疾患を含む難病の遺伝学的検査の多くは,大学の研究室などにおいて研究として実施されてきた. 2018 年12 月1 日より施行された「医療法等の一部を改正する法律(平成29 年法律第57 号)の改正省令 (平成30 年厚生労働省令第93 号)」により,患者の診断など診療目的に行われる場合は,検体検査を行う区域が,都道府県などに申請する医療機関の建物の中に含まれていること,医療機関の管理者および検体検査の精度管理責任者の権限が及ぶことなどにより,医療機関の組織の一部として位置付けられている必要があるとされた(医療機関,衛生検査所などにおける検体検査に関する疑義解釈資料[Q&A][厚生労働省医政局] 25)).遺伝子関連検査・染色体検査においては,検体検査全般の精度管理責任者の他に遺伝子関連検査・染色体検査の精度管理責任者の設置(兼務も可),内部精度管理の実施,適切な研修の実施,各種標準作業書の作成,各種作業日誌・台帳の作成と保存が義務化された.また,外部精度管理調査の受検は努力義務とされ, ISO15189,米国病理医協会(College of American Pathologists: CAP) 26)など検査施設に対する第三者認定は勧奨とされた.

ISO15189 は,国際基準化機構(International Organization for Standardization: ISO)が策定した国際規格で,臨床検査室の品質と能力に関する要求事項を規定している27).品質に関する要求事項には,検査室で作成した品質方針,品質目標,品質マニュアルなどの文書に基づいて業務を行い,内部・外部監査結果や利用者によるフィードバックなどの定期的な分析を通して,その品質マネジメントシステムの適切性,妥当性,有効性を評価し,継続的に改善することを定めている.一方,能力に関する要求事項では,検査室要員の教育訓練や力量評価,環境整備,検査機器や試薬・

消耗品の管理,検査手順の妥当性確認,標準作業書の作成,内部・外部精度管理などについて規定している.日本国内においては,NGS を用いた生殖細胞系列遺伝子検査の項目でISO15189 認定を取得している施設はまだ少ない.なお,外部精度管理調査にはCAP が提供する技能試験などがある.

2.2 NGS を用いた遺伝学的検査の流れ

循環器領域の遺伝学的検査において,複数の遺伝子を同時に解析するNGS パネル検査はきわめて有用であり,世界中で幅広く利用されている.わが国では,数多くの遺伝学的検査が公益財団法人かずさDNA 研究所 かずさ遺伝子検査室28)などの衛生検査所で行われている.衛生検査所で実施する場合,血液検体が検査所に搬送され,DNA抽出,NGS を用いた検査が行われ,報告書が提出医に返却される.バリアントの病的意義の検証は衛生検査所ごとに独自の取り組みが行われている.かずさDNA 研究所では,希望により当該疾患の専門家のコメントが得られるサービスがある.

医療機関で実施する例として,信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターの取り組みを示す(図2) 29, 30, 30a).院内検体の場合,遺伝子医療研究センターの医師により電子カルテから遺伝学的検査の指示が出されると,それに紐付き中央採血室において採血が行われる.血液検体は診療チーム以外の学内外専門家によるバリアント検証を可能にするために専用システムで匿名化された後,自動抽出機でDNA 抽出が行われる.NGS による解析が行われ,病的バリアント(pathogenic variant),病的である可能性が高いバリアント(likely pathogenic variant),病的意義不明のバリアント(VUS)が検出された場合,NGS データを可視化するソフトウェアであるIntegrative Genomics Viewer (IGV) 31)およびサンガーシークエンスで確認される.病的意義の判定は分子遺伝学専門家,臨床遺伝専門医により行われ,学内外の専門家からなる会議を通じて検証される. NGS では検査の対象となる領域のデータが得られなかった場合,サンガーシークエンスが行われる.報告書が作成された後,匿名化が解除され,電子カルテに報告書が返却される.一連のプロセスは検体取り違えを防ぐためにバーコード管理されている.

その後,VUS については,de novo の確認(無症状の両親の遺伝型の検討),家系内での共分離解析(罹患状態と遺伝型の検討),機能解析(mRNA を用いたスプライス異常の検討など)などの追加解析が考慮される.さらに,病