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p.20 抽出テキスト

部のライソゾーム病を対象疾患とした拡大新生児マススクリーニング検査も実施されている.

新生児マススクリーニングの検査結果は1 ヵ月健診までに報告書が返却され,確実に正常と判断できない場合は再検査が実施される.精密検査が必要となる場合には,専門の小児医療機関への受診が必要となる.マススクリーニング陽性例の確定診断は,先天代謝異常症の場合,特異的な異常代謝産物の測定で,具体的には「血漿・尿中アミノ酸分析」「尿中有機酸分析」「濾紙血・血清アシルカルニチン分析」などの生化学的検査が用いられる.

1.2.2 酵素診断

小児のみならず成人も対象となり得る生化学的検査として酵素診断がある.ライソゾーム病として知られるFabry病やPompe 病,そして糖代謝の経路に関与する酵素の異常によって発症する糖原病などは,当該原因遺伝子の欠失(酵素欠損)が原因となり心疾患を合併するため,酵素診断が有用である.酵素診断はろ紙血の酵素活性測定により行われ,遺伝子解析に並ぶ遺伝学的検査の1 つとして健康保険診療項目に収載されている.しかし実際には必要経費を保険診療報酬の範囲内に収めることはまだ難しいことから,各疾患を専門とする研究機関で実施される場合もあり,日本先天代謝異常学会23)や国立成育医療研究センター24)のウェブサイトや,厚生労働省研究班「ライソゾーム病,ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィーを含む)における良質かつ適切な医療の実現に向けた体制の構築とその実装に関する研究班」から検査施設を検索することが可能である.

1.3 細胞遺伝学的診断法 (顕微鏡観察により行う染色体検査)

1.3.1 染色体分染法(特にG 分染法)

一般的な染色体検査は,染色体を観察できる分裂期の細胞を得るための培養から始まり,分裂中期の細胞を蓄積するための細胞分裂阻害剤の添加,細胞を膨化させるための低張処理とその後の処理のための固定,スライドガラス上への染色体標本の展開,染色,顕微鏡観察,撮像画像解析により実施される.

分染法とは,染色体上に濃淡のある縞模様(バンド)の特徴を表出させて解析する方法の総称であり,各染色体の特徴的なバンドを解析する.なかでもG 分染法(G-banding) は,凝集した染色体を染色し核型を可視化するために細胞遺伝学で用いられる技術であり,最も一般的に用いられる手法である.G 分染法のほかには,Q 分染法,

R 分染法,C 分染法,DA/DAPI 分染法などがある.アデニンとチアミンの割合が多く遺伝子数が少ない傾向にあるヘテロクロマチン領域は,より濃く染まる.対照的に,グアニンとシトシンの割合(GC 含量)が多く転写が活発に行われるユークロマチン領域はあまり染まらず,明るいバンドに見える.染色体の各腕はセントロメアからテロメアまで番号が付けられており,これにより染色体上のすべてのバンドは一意に定まり,正確に記述できる.

G 分染法では,染色体の大きさやセントロメアの位置,濃淡のバンドで24 種の染色体を識別する.通常ハプロイド(半数体)あたり,550 バンドレベルで解析し,バンドの位置,並びで染色体の構造異常を判定する.理論的に1 バンドは約5Mb(遺伝子約50 個)であり,これ以下の微細な構造異常は検出不可能である.

染色体核型に異常があっても,表現型やリプロダクションに影響がないバリアントがあるので注意が必要であり,そのように表現型やリプロダクションに影響のないものを正常バリアントまたは正常多型という.染色体数の異常として,倍数体,常染色体トリソミー,性染色体数の異常,構造異常(相互転座,ロバートソン転座,欠失,重複,挿入,腕内逆位,腕間逆位,同腕染色体,リング染色体,マーカー染色体)などを検出する.先天異常および生殖障害に関する染色体検査では,無菌的に採取された末梢血リンパ球を用い,21,13,18 トリソミー,Turner 症候群, Kleinfelter 症候群などが対象疾患となる.必要に応じて, FISH 法を併用し,総合的な細胞遺伝学的診断を行う.

1.3.2 FISH 法

FISH 法では,目的とする遺伝子等の特定のゲノム領域を解析することができる.FISH 法は,特定のDNA 配列を含み蛍光色素で標識したオリゴヌクレオチドや抗体をプローブに用い,標的遺伝子に相補的に複合体を形成(ハイブリダイゼーション)させる.染色体がそのプローブと同じDNA 配列を有している場合には,そのDNA 配列の部分が蛍光シグナルを発するため,これを蛍光顕微鏡で観察し判断することができる.プローブ結合部位が蛍光で検出され,目的とする遺伝子の存在や数,部位を特定できる.使用するプローブにより,G 分染法で検出できない由来不明の染色体の同定,微小な構造異常の分析などが可能である.また,染色体分裂像が得られにくい検体の間期核細胞での解析や,目的とする特定の染色体数の異常の迅速診断が可能である.FISH 法は微小欠失や微小転座を視覚的に検出できるが,約1Mb 以下の微小重複の判定は困難である.低頻度モザイクの検出ではG 分染法よりも優れる.G 分染