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る可能性がある.その際留意すべき点を以下に示す. 1浸透率:高い浸透率を示すことが多い代表的な遺伝性循環器疾患として,Marfan 症候群など遺伝性結合組織疾患,カテコラミン誘発多形性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia: CPVT),LMNA関連拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy: DCM)などがある.中程度の浸透率を示すことが多い代表的な遺伝性循環器疾患として,肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy: HCM),先天性LQTS などがある.低い浸透率を示すことが多い代表的な遺伝性循環器疾患として,TTN関連DCM などがある. 2診断:上記浸透率を考慮すると,病的バリアントを受け継いでいることのみをもって血縁者の診断を行うことはできない.臨床症状および検査所見を総合して診断を行う必要がある. 3料金:未発症の血縁者に対する遺伝学的検査は令和5(2023)年時点での診療報酬上,非保険で行われる.しかしながら,未発症の血縁者に対する早期介入(遺伝学的検査,サーベイランス,予防内服など)はゲノム医療の根幹を成すものであり,循環器診療を行う専門医および遺伝子医療専門家は早期の保険収載を強く望む. 4.3 出生前遺伝学的検査 出生前遺伝学的検査・診断および検査対象,実施上の注意点については別項に譲る.わが国では,人工妊娠中絶は刑法上許容されておらず,母体保護法により限定的適用(妊娠の継続・分娩が妊婦の著しい経済的・身体的負荷になる場合,事件による妊娠の場合)が示されている.胎児の疾患・障害を直接の理由にした人工妊娠中絶は許容されていない. 近年登場した着床前遺伝学的検査(preimplantation genetic testing for monogenic: PGT)は,不育症・不妊症を対象としたPGT for aneuploidy(PGT-A),染色体構造異常を有するカップルを対象としたPGT for structural rearrangement(PGT-SR),および特定の単一遺伝子疾患の再発率が高いカップルを対象としたPGT for monogenic (PGT-M)を含む.PGT-M は非罹患胚のみを移植するため人工妊娠中絶を回避できるが,対象となる疾患・状況が非常に限定的であることに留意する必要がある.PGT はいず れも日本産科婦人科学会の承認を受けた施設において実施され,特にPGT-M については日本産婦人科学会の審査委員会ならびに自施設の倫理委員会の慎重な審査を経て行われている. 4.4 薬理遺伝学検査 薬理遺伝学検査は薬剤に対する効果・想定される副作用の発現を推定する生殖細胞系列の遺伝学的検査である.結果として判明する遺伝情報が特定の疾患の診断や発症リスクに関わる場合でなければ,通常診療の中で行われる. 4.5 易罹患性検査 特定の多因子遺伝性疾患としての心臓血管疾患について,遺伝的素因が存在するかを調べ罹患性の程度を予測する易罹患性検査は現状では研究として実施されており,まだ臨床的有用性の検証段階である.多因子遺伝性の心臓血管疾患は,多くの遺伝要因と環境要因(高血圧,脂質異常症,糖尿病,虚血性心疾患,心房細動[atrial fibrillation: AF]など)によって発症するといわれている.1 つ1 つの遺伝要因の疾患発症への寄与率は小さいが,その組み合わせから発症予測に有用である可能性があり(虚血性心疾患およびAF の項目に詳記する),多因子遺伝性疾患においても遺伝学的検査の今後の臨床応用が期待される. なお,医療機関を通さず直接消費者に提供されるDTC遺伝学的検査(Direct-to-Consumer Genetic Testing)は診療として実施されるものではないため,ここで述べる易罹患性検査には含めない.遺伝医学に詳しい専門家・医療機関を通さずに,直接消費者に遺伝学的検査サービスの提供が行われている.現時点では検査結果の内容に関して,分析的妥当性,臨床的有用性,科学的根拠,検査精度・質的保証,個人情報保護が担保され検証が十分に行われているか,確認できない場合がある.日本人類遺伝学会のDTC遺伝学的検査に関する見解にも「消費者が不利益を受けないように,関係者はあらゆる機会を通じて,一般市民に対し,遺伝学の基礎およびDTC 遺伝学的検査について教育・啓発を行なうべきである」と述べられている14).