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ス」(日本小児遺伝学会,日本先天異常学会,日本人類遺伝学会,2020 年3 月) 4)では,ゲノムのコピー数変化の評 価に関する検査に関する基本原理や特性について記述されている.本稿もこれらの指針に準拠し,循環器診療として実施される遺伝子関連検査のうち,個人の遺伝情報の特性に基づいた配慮が求められる遺伝学的検査を対象としている. 遺伝情報は「個人情報の保護の法律施行令」(平成15 年政令第507 号)において個人識別符号と定義されている.医療・介護関係事業者の個人情報の適正な取り扱いのために,「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成 29 年 4 月 14 日医政発0414 第 6 号)や,「診療情報の提供等に関する指針」(平成 15 年9 月 12 日医政発第 0912001 号)についても参照する. 1 遺伝学的検査の留意点 遺伝学的検査を実施する際に考慮すべき遺伝情報の特性について表3 に示す1).遺伝学的検査は,本人の遺伝子・染色体の変化に基づく体質,疾病の発症などに関する情報を得るために行われるが,遺伝情報には考慮すべき特性がある.まず,生涯変化しないという不変性が挙げられる.次に,血縁者で一部共有されるという共有性,そして,血縁者の遺伝型・表現型を予測できるという予測性である. 加えて,結果の病的意義・臨床的有用性が変わり得る,病的バリアントから予測される表現型には個人差があるといったあいまい性も考慮すべきである. 遺伝性疾患の患者は複数の診療科を受診することが多いため,遺伝情報は関与する医療従事者間で共有する必要がある.その際,これらの特性に配慮し,患者のプライバシーの保護に十分に留意しなければならない. 2 遺伝学的検査の伝え方 遺伝学的検査は,上記の特性に十分留意して,臨床的および遺伝学的に有用と考えられる場合に患者あるいはクライエントに提案され,説明と同意のうえで実施する.検査の実施に同意している場合においても,その検査結果が示す意味を正確に理解することが困難であったり,疾病の将来予測性に対してどのように対処すればよいかなど,本人および家族などが大きな不安を持つ場合が多い.医療機関において遺伝学的検査を行う場合には,臨床遺伝学の専門的知識を持つ者による遺伝カウンセリングを通じて,本人および家族などの心理的社会的支援を行う体制を整えておくことが必要である. 遺伝学的検査の結果は,診断の確定に基づき,臨床医学的情報・遺伝型と表現型の関係に関する情報などを,総合的に伝えられるべきである.同定されたバリアントのうち,新規のバリアントであってその病的意義を確定することが困難である場合,浸透率が必ずしも高くないと考えられる場合,臨床的有用性が確立していない遺伝子にバリアントが見つかった場合には,特に慎重な対応が求められる. 未成年者や同意能力のないものを対象として遺伝学的検査を実施する際にも,両親等による代諾を得たうえで本人の了解(アセント)を得ることが望ましい.一方,非発症保因者の診断や,成年期以降に発症する疾患の発症前遺伝学的検査については,原則として本人が成人し自律的に判断できるまで実施を延期すべきで,両親などの代諾で検査を実施すべきではない. 発症する前に将来の発症をほぼ確実に予測することを可能とする発症前遺伝学的検査においては,検査実施前に受検者が疾患の予防法や発症後の治療法に関する情報を十分に理解した後に実施する必要がある.浸透率が低い,あるいは不明な場合でも,何らかの医学的介入が臨床的に有用である可能性がある場合には,同様の対応を行う.結果の開示に際しては疾患の特性や自然歴,被検者個人の具体 表3 遺伝情報の特性 • 生涯変化しないこと. • 血縁者間で一部共有されていること. • 血縁関係にある親族の遺伝型や表現型が比較的正確な確率で予測できること. • 非発症保因者(将来的に病的バリアント(変異)に起因する疾患を発症する可能性はほとんどないが,当該病的バリアント(変異)を有しており,次世代に伝える可能性のある者)の診 断ができる場合があること. • 発症する前に将来の発症の可能性についてほぼ確実に予測することができる場合があること. • 出生前遺伝学的検査や着床前遺伝学的検査に利用できる場合があること. • 不適切に扱われた場合には,被検者および被検者の血縁者に社会的不利益がもたらされる可能性があること. • あいまい性が内在していること (あいまい性とは,結果の病的意義の判断が変わりうること,病的バリアント(変異)から予測される,発症の有無,発症時期や症状,重症度に個人差がありうること,医学・医療の進歩とともに臨床的有用性が変わりうること等である). (日本医学会.2011 1)より)