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p.69 抽出テキスト

冠動脈病変,肥満といった共通するリスク因子を有しており,とくに心不全や冠動脈病変の併発がOSA 患者の心臓突然死に関与していることが推定される.従来の報告では,心臓突然死は起床後の6 時から増加し12 時にピークを迎える日内変動を示すことが知られている802).しかし, OSA 患者では,真夜中12 時から朝6 時までのあいだの突然死発生リスクが一般集団と比較して2.57 倍高いと報告されている85).原因として冠動脈疾患の関与が示唆されているが,心筋虚血を認めない場合でも突然死は生じており,低酸素,酸化ストレス,自律神経系障害,胸腔内圧変化や血管収縮物質の関与など,複合的な要因が考えられている.日中に発生する非持続性心室頻拍や自然停止する持続性心室頻拍であれば動悸や失神発作として自覚するが,実際に心室性不整脈として心電図に記録され検出される頻度は少ない.しかも,突然死の日内変動から推定されるように,就寝中に突然死に至らない心室性不整脈が生じていたとしても自覚する可能性は低い.そのため,不整脈が検出される頻度は低く,正確な心室性不整脈の発症頻度は不明である.植込み型デバイスを植え込んだ症例では,不整脈の連続モニタリングが可能となるため,デバイスの適応となる症例に限定されるが,正確な不整脈の発症頻度を検討することが可能となる.CRT 機能付き植込み型除細動器(CRT-D)を植込んだ心不全患者472 人のなかで,CPAPもしくはASV 治療が行われていない283 人を2 年間追跡すると,55.9% にあたる140 人で心室性不整脈が検出された686).CRT-D を植え込んだ症例に限られた検討ではあるが,不整脈イベントはSDB を有する群で有意に高く, OSA もしくはCSA を有する患者群では有意に致死性心室性不整脈発生までの期間が短く,デバイスの適切作動が多く,SDB 自体が致死性心室性不整脈発生のリスク因子となることが示されている803).AHI ≧10 の群はAHI <10の群に比して,夜間帯(0 時から6 時)のICD 適切作動が有意に高いと報告されている803).

9.2 致死性心室性不整脈の予防と治療

心臓突然死のCPAP 治療による予防効果については明らかでない.心不全にCSR を合併したICD 植込み患者において,ASV の導入によりICD の作動が有意に減少したと報告されている804).一方で,SERVE-HF 試験は,心不全とCSA を併発した1,325 人を対象として,ASV が長期的な生命予後の改善効果を示すかを検討した前向き多施設RCT であったが,ASV 治療群で全死亡および心血管死が有意に多いという結果であった.ASV 治療群の約30% が脱落しており,本試験の解釈については議論が分かれるところであるが,心臓突然死一次予防としてのCPAP 治療の

有効性を示すには多数の症例が必要であり,今後の課題であると考えられる.

10 虚血性心疾患(表42)

10.1 冠動脈疾患のSDB

冠動脈疾患は高率にSDB を合併していることが知られている805-807).とくに急性冠症候群(ACS)におけるSDBの合併の頻度は高い243, 808, 809).ACS では循環動態の不安定性や交感神経活性などの影響により,その合併頻度は増加すると考えられている.Moruzzi らは,AHI ≧10 の頻度は急性心筋梗塞では慢性虚血性心疾患の約2 倍の22%,不安定狭心症では約3 倍の36% であったと報告している809).ただし,SDB の確認をACS 発症後の,どの時期に,どの検査法で行ったか,さらに有病率はAHI カットオフ値の設定により影響を受けるために解釈には注意が必要である.Tsukamoto らは急性心筋梗塞3 ~5 病日に施行したPSG は,慢性期のPSG に比してOSA もCSA も一過性の悪化を呈していると報告している810).これはACS 発症直後の交感神経活性亢進や心機能低下が,一過性にSDB を増悪させているものと考えられている.Hayashi らは急性心筋梗塞発症14 病日の時点ではAHI ≧5 であったのは95.3%,AHI ≧15 であったのは54.3% と高頻度であ

表42 虚血性心疾患におけるSDB の評価と治療に関する

推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

SDB の臨床症状の聞きとりとスクリーニング検査を行うI B重症OSA に対して虚血性心疾患発症予防を目的としてCPAP 治療を考慮するIIa B虚血性心疾患に合併するOSA に対して心血管イベント抑制目的にアドヒアランスが維持されたCPAP 治療(4 時間以上のCPAP 使用)を考慮するIIa B OSA に対して動脈硬化進展の抑制を目的としてCPAP 治療を考慮してもよいIIb C夜間発作を有する虚血性心疾患に合併する重症OSA に対してCPAP 治療を考慮してもよいIIb C