p.66 抽出テキスト
る. 不整脈発生においては,加齢に伴う心筋線維化や高血圧などの併存疾患,基礎心疾患が不整脈基質を形成するが,初期の段階ではこれらの構造的変化は軽度であるため大きく関与はしない.しかしSDB を有する場合には,この変化に加えて毎晩繰り返される無呼吸によりさらなる構造的・電気的リモデリングを惹起する.さらに,無呼吸エピソードごとの不整脈発生リスクも存在し,心房性不整脈と心室性不整脈とでは,その機序は異なるが,不整脈のトリガー となる.SDB や併存疾患,基礎心疾患への適切な介入がないと不整脈基質が水面下で形成され,ある時期になると不整脈発生閾値を超えて心房細動や致死性心室性不整脈の不整脈発症につながることになる.心房細動の場合には,発作性心房細動から経過とともに持続性心房細動に移行し,最終的には永続化する(図26).このようにSDB は,無呼吸の急性変化・慢性変化の両者が頻脈性不整脈発症 図25 SDB における不整脈発生機序 ・静脈還流量増加・心房伸展・心室壁内外圧差増大・心室中隔左室側変位・後負荷増大・心拍出量低下 胸腔内圧の変動(強い陰圧化)周期的低酸素血症 自律神経活性の変化(交感神経・副交感神経活性亢進)・心筋虚血・電気的リモデリング・炎症性サイトカイン増加・線維化促進・内皮細胞障害・血管硬化 ・血中カテコラミン増加・有効不応期短縮・炎症性サイトカイン増加 図26 心房性不整脈発生と進行におけるSDB の関与 有効不応期短縮心房期外収縮・自律神経修飾・心房伸展・低酸素血症構造的リモデリング 心肥大・拡張能障害・心房拡大・心房線維化・伝導障害心房性不整脈 無呼吸に伴う不整脈リスク SDB / 基礎疾患に伴う不整脈原性基質 心房性不整脈閾値 発作性持続性永続性 不整脈発生リスク 時間