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p.64 抽出テキスト

より治療すべき病態である可能性がある.OSA 患者に対するCPAP にて,左室心筋重量,右房および左房の容積が減少したとの報告747)がある.さらに,OSA 管理による肥満,高血圧,糖尿病,心房細動,冠動脈疾患,腎機能障害などのHFpEF 関連因子の改善により,HFpEF の発症予防やHFpEF 患者の予後改善へつながる可能性がある741).

HFpEF に合併するOSA 管理に関して,心不全の有無を問わないOSA についての治療と同様に,CPAP を中心とした治療を検討すべきである.とくにOSA に関連する症状を呈する場合は強く推奨される2, 473, 498, 748).その他,減量・アルコール摂取・睡眠体位や睡眠導入薬の選択などに関する指導も重要であり,OA の使用も有用である2).日本循環器学会/ 日本心不全学会による「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017 年改訂版)」では,日中の眠気などOSA に関連する症状がある症候性OSA の場合はHFrEF, HFpEF を問わず既存のSDB 診療のガイドラインに従って治療されるべきとされている473).症候性OSA を合併するHFpEF 患者に対してOSA 症状改善を目的としたCPAP治療は推奨される(表39).前述のようにOSA に対するCPAP 治療によって心臓の構造的異常の改善が得られることや,HFpEF の病態関連因子に対する効果を考慮して, HFpEF に合併するOSA に対してこれらの改善を目的としたCPAP の導入は有用である可能性が高い(表39).一方, OSA を伴う心不全患者の予後改善を目的としたエビデンスは確立されておらず,とくにHFpEF に合併したOSA に対する治療で予後を改善したエビデンスはない(表39).「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017 年改訂版)」では,中等症以上のOSA を伴う心不全患者の予後改善を目的としたCPAP 治療は推奨クラスIIb,エビデンスレベルC とされているが473),これはHFrEF を対象とした観察研究の結果を踏まえたものであり,今後HFpEF に合併したOSA に対する治療に関するエビデンスの蓄積が必要である.HFpEF に合併したOSA に対するOA による治療についての報告はほとんどなく,短期間の心機能改善などを評価する臨床試験が進行中である749).

一方,HFpEF に合併するCSA-CSR 管理に関する治療指針はさらに確立されていない.前述したSERVE-HF 試験のサブ解析では,ASV 使用と心不全増悪入院の関係についてLVEF との交互作用を認め,LVEF 30% 以下ではASV 群で心不全増悪が多い一方,HFrEF 患者のなかでもLVEF が36% より高い症例においてASV 群の心不全増悪は低い傾向であった723).HFrEF に比してHFpEF では,心拍出量は維持されており750, 751),陽圧治療による低心拍出の危険性は少なく,より安全に心不全管理が行える可能性がある.CSA-CSR を含むSDB を合併したHFpEF 患者において,ASV 治療にて6 ヵ月後に左室拡張能,動脈ス

ティフネスや血管内皮機能の改善を認め,心臓死および心不全再入院率が低下した752).また,CSA-CSR を含むSDB 合併HFpEF 患者にCPAP やASV を適宜使用することで,呼吸機能,右心機能,運動耐容能,生命予後が改善した753).同様にCSA 優位なHFpEF 患者において,ASVにてCSA の改善と併せて,推定肺動脈圧やBNP が低下し,左室拡張能指標に加え,三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)や右室面積変化率(FAC)など右心機能が改善した718, 754, 755).うっ血性心不全に対するASV 療法の効果をみたCAT-HF 試験でもHFpEF 患者にて複合エンドポイントの改善が認められた718).

7 徐脈性不整脈(表40)

7.1 正常睡眠における徐脈性不整脈

正常睡眠において,器質的心疾患を伴わなくても徐脈性不整脈を認めることはまれではない.洞性徐脈は睡眠中に起こる徐脈性不整脈のなかでもっとも頻度が高いものであるが,洞静止,洞房ブロック,房室ブロック,接合部調律も睡眠中に認められる.これらは若年者やアスリートでとくに頻度が高く,中高年になるにつれ低下するといわれている756-759).50 人の医学生にホルター心電図を施行したところ,28% に1.75 秒以上の洞静止を,6% にI 度房室ブロックを認め757),128 人のアスリートでは9% にI 度房室ブロックを,2% にWenckebach 型II 度房室ブロックを認めたと報告された759).睡眠中の徐脈の機序として,ノンレム睡眠における交感神経活性減弱と副交感神経活性亢進が

表40 徐脈性不整脈におけるSDB の評価と治療に関する

推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

SDB の臨床症状の聞きとりとスクリーニング検査を行うI C睡眠に関連した徐脈や伝導障害があり, OSA を合併している症例においてSDBの治療(CPAP 治療や減量)を行うI C徐脈や伝導障害に対してペースメーカ植込みを予定している,もしくはすでにペースメーカが植込まれている患者に対してSDB のスクリーニング検査を考慮するIIa C