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p.57 抽出テキスト

図24 OSA がCKD の発症と進行に与えるメカニズムOSA に伴う低酸素血症,RAA 系活性化が直接的に腎障害を引き起こし,さらに血圧上昇や動脈硬化を中心とした全身的影響が複雑に関与して,CKD の発症と進行に関与する.

低酸素RAA 系活性化

尿細管間質障害糸球体内圧増加酸化ストレス糸球体過剰濾過炎症反応糸球体硬化間質線維化

腎臓における影響全身における影響

CKD交感神経活性亢進

酸化ストレス血圧上昇血圧変動血管内皮障害

動脈硬化

OSA

化につながることが示唆されている.CKD 患者とSDB の予後との関連性を検討したメタ解析では,SDB の存在はCKD 患者の生命予後を悪化し(リスク比1.47) 642),維持透析中のESRD 患者では心血管イベント発生を増加させる(リスク比2.45).また,ステージG4,G5 のCKD 患者を対象とした観察研究では,SDB の重症度が高いほど総死亡のリスクが高くなり,多変量解析では平均酸素飽和度低値と酸素飽和度90% 未満の睡眠時間の割合が独立した予後規定因子であった650).

3.4 CKD 患者に合併するSDB に対する 治療

SDB に対するCPAP 治療は,腎臓の血行動態を改善し, RAA 系活性を低下させ,腎障害の進行を抑制する可能性がある.短期的なCPAP 治療がOSA 患者の腎機能に与える効果を検討した臨床試験では,1 ヵ月間のCPAP は,腎血流量を増加させ,血漿アルドステロンと尿蛋白を低下させ,アンジオテンシンII に対する腎血漿流量の反応性を改善した651).また,3 ヵ月間のCPAP 治療によりOSA 患者のアルブミン尿の低下を認め649),メタ解析では3 ヵ月間以上CPAP を使用しているOSA 患者においてGFR の改善効果が示されている652).OSA 患者における長期CPAP 治療の腎機能への影響を検討した研究では,541 日間の観察期間において,固定CPAP はオートCPAP に比して,経時的なGFR 低下の抑制効果が示された653).OSA を合併するステージG3 ~G5 のCKD 患者を対象とした検討では, 1 日4 時間以上で70% 以上のアドヒアランス良好なCPAP使用にて,GFR 低下の抑制や尿蛋白の抑制効果が認めら

れている654).しかし,OSA 患者に対するCPAP のRCTであるSAVE 試験のサブ解析では,CPAP 群は,非CPAP群に比して腎予後改善につながらなかった655).考慮すべき点として,対象のほとんどがCKD ステージG2 より軽症のGFR が正常な患者であること,CPAP アドヒアランスが不良であったことや重度夜間低酸素を有する患者が除外されていたことなどの影響が指摘されている.また,OSAを合併するステージG3,G4 のCKD 患者を対象にCPAPの腎機能への影響を検討したRCT では,12 ヵ月間の観察期間において,CPAP 群と非CPAP でGFR とアルブミン尿の変化に差を認めなかった656).しかし,CKD 進行の低リスク患者では,CPAP によるGFR の改善効果の可能性が示唆されており,今後の長期的な腎予後の検討や大規模臨床研究によるエビデンスの蓄積が待たれる.CKD 患者は心血管疾患を有していることが多いため,その併存症も考慮して,症例に応じてCPAP 治療介入の適応を検討する必要がある.CPAP 以外のSDB 治療では,心不全を有するCKD 患者における6 ヵ月間の適応補助換気(ASV)療法が,GFR やシスタチンC の改善につながったとの報告がある657).CKD の治療によりSDB が改善するかどうかに関しては,ESRD 患者において夜間透析療法や腎移植によるSDB の改善効果が示唆されている542, 547)が,詳細は第1 章の5.4.2 「透析」を参照されたい.