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p.52 抽出テキスト

や脳血管障害など,あらゆる領域の高血圧に関連した循環器疾患のリスクとなる585, 586).これらのリスクのもっとも上流にあるのが交感神経活性の亢進である.OSA が高血圧とその臓器障害のリスクを増大させるメカニズムは多様である587).OSA による胸腔内陰圧化,肺の伸展受容体刺激の低下,化学受容体刺激,低酸素血症,高二酸化炭素血症,微小覚醒などが高血圧発生に関わる.OSA 患者では炎症反応の指標である血中高感度CRP が増加しているが,その増加はnon-dipper 型血圧日内変動を示すOSA 患者では,dipper 型患者よりもより大きい588).このことは, OSA 患者においても夜間高血圧(non-dipper・riser 型)で心血管リスクが増加していることを示している.したがって,OSA 患者では携帯型24 時間血圧モニター(ambulatory blood pressure monitoring: ABPM)を行い,夜間血圧を評価することが推奨される.

OSA による夜間血圧サージは腎交感神経デナベーションにより抑制される589).

1.5 OSA を考慮した高血圧診療プロセス

高血圧患者はOSA に関連する自覚症状がない場合も多い.したがって,高血圧診療では,自覚症状がなくてもOSA を疑い,詳細な問診を行うことが重要である.

OSA を考慮した仮面高血圧の診療プロセスを以下に示す557).まず,家庭血圧計により早朝血圧を測定し,そのレベルが135/85 mmHg 以上の場合,早朝高血圧と考え,早朝血圧をターゲットとした降圧治療を行う.早朝血圧レベルが135/85 mmHg 未満のときは,ABPM を測定し,24時間血圧レベルが平均で130/80 mmHg 以上である場合,昼間血圧が高いとストレス性高血圧,夜間血圧が高いと夜間高血圧と考え,それらをターゲットにした降圧治療を行う.24 時間血圧レベルが平均で130/80 mmHg 以上で夜間・早朝血圧のコントロールがつかない治療抵抗性夜間早朝高血圧であった場合はOSA を疑う557).さらに,夜間尿,

夜間呼吸困難,夜間発症の心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中,急性大動脈解離,上室性・心室性不整脈など)の既往や,正常血圧にもかかわらず左室肥大などを有する例では,夜間血圧を含めた24 時間血圧が正常レベルであっても,OSA を積極的に疑う.24 時間血圧が130/80 mmHg未満と正常にコントロールされている場合においても,臓器障害の進行例,とくに圧負荷の影響を受けやすい左室肥大の合併例ではOSA を疑う557).OSA では,ABPM により評価した夜間血圧を含む24 時間血圧が正常レベルであったとしても,無呼吸時の胸腔内陰圧により左室壁に強い圧負荷がかかり,高血圧性心疾患が進展する.

1.6 OSA に合併した高血圧の治療(表33)

1.6.1 非薬物治療

肥満と高血圧は密接な関連があり590),肥満OSA 患者では,減量と運動がもっとも有効である.また,アルコールとSDB は高血圧の明確なリスク因子であることから591)節酒を指導し,喫煙者には禁煙を指導する.個人レベルで,これらの生活習慣の修正を支援するデジタル治療は,有意の降圧を示すことから,OSA 患者への有効性が期待される592).

表33 高血圧におけるOSA の治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

中等症・重症OSA を合併する高血圧患者に対してCPAP 治療を考慮する

* IIa A

中等症・重症OSA を合併する治療抵抗性高血圧患者に対してCPAP 治療を考慮する

* IIa A軽症・中等症OSA を合併する高血圧患者に対してOA 治療を考慮するIIa A軽症・中等症OSA を合併する高血圧患者に対して夜間血圧120/70 mmHg 未満を目標とした厳格な降圧療法を考慮するIIa C CPAP 治療を拒否ないしは自己中断した中等症・重症OSA を合併する高血圧患者に対して夜間血圧120/70 mmHg 未満を目標とした厳格な降圧療法を考慮するIIa C * わが国のCPAP の保健適用はPSG 検査でAHI が20 以上,また

は簡易モニターでAHI が40 以上である.

表32 高血圧におけるOSA の評価に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

治療抵抗性高血圧患者にOSA のスクリーニング検査を行うI A夜間尿,夜間呼吸困難,夜間発症の心血管イベントの既往がある高血圧患者にOSA のスクリーニング検査を考慮するIIa C正常血圧にもかかわらず左室肥大を有する患者にOSA のスクリーニング検査を考慮するIIa B