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p.51 抽出テキスト

するriser 型では,高血圧性臓器障害や将来の心不全や動脈硬化性心血管疾患の発症リスクが高いことが知られている567-571).睡眠時間の短縮と夜間高血圧は独立して心血管疾患のリスクとなる572).これら夜間高血圧(non-dipper・riser 型)の発生病態として,循環血液量の増加(心不全や慢性腎臓病[CKD]など),自律神経障害(糖尿病など),睡眠の質の低下(睡眠呼吸障害[SDB]や抑うつ状態など)などが知られている557, 571).これらの発生病態である心不全, CKD,糖尿病などでは,OSA の合併頻度が高い557, 571).

さらに,OSA の夜間無呼吸発作時に,最大の胸腔内陰圧負荷に加え,無呼吸後半から無呼吸が解除される時相に一致して,著明な血圧上昇(睡眠サージ血圧)が発生する571, 573, 574).このような血圧上昇が起こることは古くから知られているが,臨床的に重要な点は,同程度の酸素分圧の低下にもかかわらず,このサージ血圧は20 mmHg 程度から100 mmHg 以上まで,幅広い個人差があることである.この夜間サージ血圧の増大は,OSA でみられる夜間発症の心血管イベントの誘因になると考えられる.

睡眠サージ血圧は,酸素分圧の低下を検出してオシロメトリック法で血圧測定を行う夜間トリガー血圧計や,トノメトリー法を用いて1 心拍ごとの血圧変動が測定可能な手首連続血圧計で検出できる571, 573-575).また,脈波伝達時間(PTT)から推定するPTT 血圧計も用いられている576, 577).

これらの血圧計は,いずれも一定間隔の夜間血圧測定よりも,より高い睡眠中のピーク血圧を検出できる.

OSA 患者では昇圧反応が亢進しているが,その機序として,夜間低酸素血症による血管反応性や,化学受容体感受性の亢進により,交感神経の亢進や交感神経刺激に対する血管収縮が増大することなどが考えられる557).動脈硬化が生じていない小児のOSA 患者においても,夜間血圧の上昇のみならず,血圧モーニングサージも増強している578).

1.3 治療抵抗性高血圧(表32)

OSA は治療抵抗性高血圧の原因にもなる556-558).通常,治療抵抗性高血圧は,利尿薬を含む3 剤以上の降圧薬を投与中にもかかわらず,診察室血圧が140/90 mmHg 未満にコントロールできない場合と定義する556).治療抵抗性高血圧の80% 以上にAHI ≧10 のOSA がみられたとの報告や55),OSA が50 歳未満の高血圧患者の血圧コントロール不良の独立した規定因子となることが報告されている579).OSA 患者において,血中アルドステロンレベルの上昇が治療抵抗性高血圧と関連していることが報告されている580).とくに,降圧薬の就寝前投与などの夜間・早朝高血圧に対する特異的治療を行っても,家庭血圧で測定した早朝血圧レベルが持続して高値(135/85 mmHg 以上)を示す治療抵抗性早朝高血圧では,OSA を疑う.その際,早朝血圧と就寝時の血圧差(ME 差)も参考にする581-584).

1.4 高血圧と臓器障害の発症機序

OSA は,虚血性心疾患,心不全,不整脈,大血管疾患

↑ 交感神経活性↓ 副交感神経活性↑RAA 系活性↓ 一酸化窒素濃度

閉塞性睡眠時無呼吸

間欠的な低酸素・高炭酸ガス状態

胸腔内陰圧化

覚醒と睡眠の分断夜間高血圧

夜間高血圧(non-dipper/riser 型)

血圧変動性の増大

↑ エンドセリン↑ 酸化ストレス↑ 炎症反応↓ 肺伸展反射高血圧

図21 OSA の高血圧の特徴と発生機序(Kario K, et al. 2021

566)より) © 2021 American Heart Association Inc.

表31 OSA の高血圧の特徴

• 治療抵抗性高血圧• 仮面高血圧• 夜間高血圧(non-dipper・riser 型,夜間サージ血圧) • 早朝高血圧(血圧モーニングサージの増強) • 心拍数増加を伴う高血圧• 若年の拡張期(優位)高血圧