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p.49 抽出テキスト

させることを考察したが,明確な根拠は示されていない.

Lüthje ら532)は,ペースメーカまたは電気的除細動器を植込んだ,心不全のない洞調律で平均AHI 20.9 の20 人を対象に3 連夜,夜間心拍数よりも7 拍/ 分または15 拍/ 分速くAOP を施行したが,どちらの心拍数もAHI の有意な低下は認めなかったと報告した.その他の研究もOSA 患者においてAOP で有意なAHI の改善を示した報告はない533-535).一方で,CSA を含む心不全患者に対してCRTを施行のうえ,一晩のみAOP を追加し急性効果をみた検討では,AHI の有意な減少(23.8 から21.5)をもたらした536).

メタ解析の結果,CSA に対するAOP の効果の有用性について検討の余地は残されていると報告されている537, 538).一方で,最新のメタ解析によると,OSA に対するAOP の効果は,有意にAHI が低下したが,低下の度合いは小さく,ほかの治療の補助として使用できる可能性があるものの効果は否定的であるとされている539).

5.4.2 透析(表30)

ESRD 患者はSDB を高率に合併し,その頻度は50 ~ 90% とされる64, 540).これには,夜間における体液移動・体液貯留に伴う上気道浮腫に起因するOSA と,呼吸調節系の不安定性を中心とするCSA の機序が考えられている.とくに,尿毒症毒素の蓄積,代謝性アシドーシスは,中枢性・末梢性CO2 化学反射を亢進させ,ESRD 患者におけるCSA を誘導すると考えられている541).

ESRD に対する治療が,SDB 改善効果につながるという報告がなされている.ESRD 患者における夜間の透析療法が,合併するSDB の治療として有効である可能性がある.週3 回日中に行う通常の維持血液透析から連日夜間8時間行う血液透析に変更することにより,SDB の改善につながったとの複数の報告がなされており,3 つのクロスオーバー試験のメタ解析では,AHI は24.6 から12.6 へと改善し542),平均SpO2 も1.3% の改善を認めた543).一方,夜間血液透析では,全睡眠時間はむしろ低下しており,睡眠の質に関する自覚症状の改善は得られていない点も併せて報告されている543).腹膜透析においては,夜間腹膜透析

から持続的腹膜透析への変更では反対にAHI は増悪するとされ544),このAHI 増加はMRI で測定された舌咽頭軟部組織の体積量の増加と関連していた.夜間腹膜透析のほうがより多くの除水量と尿素排泄が得られており,これらがOSA とCSA 両方に影響したと考えられる.

また,維持血液透析中の中等症SDB を合併するESRD患者を対象に,血液透析直前・直後でSDB の変化を検討した臨床試験では,血液透析後AHI の有意な低下を認めなかったが,OSA およびHI の有意な低下を認めた545).血液透析前後での体液量の変化量が,OSA の変化数と正の相関を認め,OSA の改善を予測する独立した因子であった.さらに,ESRD 患者における限外濾過による追加除水(平均2.1 L)がSDB に与える効果を検討した臨床試験では,AHI は43.8 から28.0 へと改善を認め,これはOSAおよびCSA で同等の低下を認めていた546).このAHI 低下は全身の細胞外液量の低下と正の相関を認めていたことから,除水により,頚部軟部組織を含む全身の体液量の低下を介して,OSA が改善されたことが示唆される.同時に,限外濾過による除水による水分除去が,経皮的PCO2 を増加させており,亢進したCO2 化学受容体の改善といったCSA に対する改善効果も示唆される.限外濾過は尿毒症や代謝には影響しなかったことからも546),ESRD では,透析療法での効果的な除水によるうっ血の解除がOSA とCSA 双方に対する治療につながる可能性がある.維持透析患者が腎移植を受けた場合でもAHI の改善を認めるとされるが547),完全なSDB の抑制効果は得られておらず,これはESRD 患者が肥満などのSDB の背景を有していることが理由と考えられる547).夜間血液透析,透析療法による厳密な体液管理あるいは腎移植が,ESRD に合併するSDB の治療につながる可能性があるが,ESRD 患者では心血管疾患を中心とするほかの併存症を複数有している場合が多いため,症例に応じて,CPAP 治療などの適応を検討する必要がある.

5.4.3 弾性ストッキング

弾性ストッキングは,下肢の静水圧を高めることで,血管内から間質への体液の漏出を防ぎ,下肢の体液貯留を減少させることから548-550),体液シフトの改善を介しOSA の改善が期待される.実際に,中等症から重症の非肥満OSA 男性6 人を対象とした最初の非ランダム化非対照研究では,大腿までの弾性ストッキングを1 日間使用することで,体液シフトが40% 減少し,AHI が37% 減少した551).同じグループによるランダム化交差試験研究では,下肢静脈機能不全を認める12 人の中等症から重症の非肥

表30 ESRD 患者におけるSDB 改善を目的とした透析治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

血液透析・限外濾過による体液管理を中心としたESRD 治療自体の最適化を考慮するIIa B夜間血液透析を考慮してもよいIIb C