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p.48 抽出テキスト

a.アセタゾラミド

左室収縮不全を伴う心不全を対象とした二重盲検RCTで,アセタゾラミド群ではAHI が55 から34,CAI が44から23 へと,いずれも有意に低下した292).15 の臨床研究,計256 人を含むメタ解析では,アセタゾラミドはAHI を有意に低下させた(平均差-15.82)

515).重炭酸イオンの尿

中排泄によりもたらされる代謝性アシドーシスが二酸化炭素・換気応答を左にシフトさせ,PaCO2 の無呼吸閾値との差を増大させること445),末梢化学受容体のO2 とCO2 に対する感受性抑制516),利尿作用による肺うっ血の改善などが無呼吸の改善に寄与すると考えられている.わが国ではSDB に対して保険適用があるが,代謝性アシドーシス,電解質異常,知覚異常などの副作用の懸念もあり,慢性心不全に合併するCSA-CSR に対する長期使用の有効性は確立していない. b.テオフィリン

二重盲検RCT で,テオフィリン群はAHI が47 から18, CAI が26 から6 とともに明らかに減少し517),非RCT においても,テオフィリンはAHI が42.6 から20.8,中枢性AHI が31.5 から10.1 と減少した518).テオフィリンが呼吸抑制作用を有するアデノシンと競合して換気を増加させ519-522),またホスホジエステラーゼIII 阻害作用による陽性変力作用による心拍出量増加を介してCSA を減少させると推察されている523, 524).テオフィリンは催不整脈作用を有し,長期使用の有効性は確立していない. c.睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬のトリアゾラムは,一般的に健康なCSA を有する患者においてプラセボ,0.125 mg,

0.2 mg 内服に割りあてたランダム化二重盲検交差試験で

両用量のトリアゾラムは閉塞性無呼吸指数に影響を与えずにプラセボと比較して中枢性無呼吸指数を約50% 減少させた525).また,心不全患者においてはテマゼパムが睡眠中の覚醒反応を低下させる可能性が報告された526).CSA- CSRの過呼吸期に発生する睡眠からの覚醒は換気オーバーシュートを引き起こすと広く考えられている.このオーバーシュートは次により大きな低炭酸ガス血症を引き起こし,新しくより長い中枢性無呼吸につながるため,覚醒を防ぐ

ことがCSA-CSR を低減もしくは抑制する治療のオプションになる可能性も示唆されている527).しかし,ベンゾジアゼピン系睡眠薬は上気道の筋肉の緊張を低下させ気道閉塞の一因となる可能性があるため,肥満,いびきなどOSAの要素をもつ患者への投与には注意が必要である526).非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のゾルピデムは,特発性CSA 20 人に対する非RCT で酸素化や閉塞性イベントを悪化させることなくAHI,中枢性AHI を有意に減少させ(30.0 →13.5,26.0 →7.1),覚醒や睡眠の質,日中の眠気を改善させた528).心不全患者における無作為二重盲検プラセボ対照交差試験でAHI は減少しなかったが,総睡眠時間(324.7 →383.2 分),深睡眠(ステージN3,

20.4 →27.1%)を増やすも,最低SpO 2 を低下

(83.6 →80.7%)させた529).覚醒を減らし睡眠が安定するが低酸素を悪化させる可能性があり,今後さらなる検討を要する. d.その他の薬物

セロトニン5-HT1A 受容体アゴニストであるブスピロンは,単施設でのプラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー比較試験で,CSA を合併する慢性心不全患者のCO2 化学感受性を減少させ,日中,夜間両方のAHI,中枢性無呼吸指数を有意に減少させた530).buspirone はわが国では未承認であるが,全般性不安障害に長きにわたり安全に用いられている薬剤であることから大規模な研究でのさらなる検討が期待される.

5.4 その他のSDB 治療

5.4.1 心房オーバードライブペーシング(AOP)(表29)

Garrigue ら531)は徐脈の診断でペースメーカの植込み術を施行し,CSA とOSA が混在している15 人を対象に平均夜間心拍数よりも15 拍/ 分早くAOP を行うとAHI が減少することを報告した.効果の機序としてペーシングによる交感神経緊張により,相対的に副交感神経抑制を生じ

表28 CSA に対する薬物治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

アセタゾラミド,テオフィリンの投与を考慮してもよいIIb Bベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の投与を考慮してもよいIIb C表29 SDB 患者に対するAOP の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

OSA 患者に対してAOP を行うことは推奨されないIII No benefit B CSA 患者に対してAOP を行うことを考慮してもよいIIb B