p.46 抽出テキスト
AHI が15 以上のままであり,その後のサブ解析でAHI が15 未満へ抑制された“responder(CPAP にてCSA が改善した群)” はLVEF や予後が改善したことが明らかとなり, CSA-CSR 自体を改善することの重要性が示唆された500). 5.3.4 その他の陽圧治療 bi-level PAP による短期間でのLVEF の改善が報告されている501)が,設定の難しさや長期予後改善に関するデータがないこともあり実臨床で使用されることは少ない1).一方で,ASV はCPAP,bi-level PAP,酸素療法よりもCSA-CSR を効果的に改善する502).ASV は,患者呼吸をモニターして,過呼吸と無呼吸を周期的に繰り返すCSRやCSA に対して,pressure support やバックアップ換気を調整し,呼吸補助の程度を変動させ換気量や呼吸数を安定させる(図19) 503). さらに,上気道開存のためのPEEP を設定するオートCPAP と同様な機能も搭載されており,心不全に合併するOSA およびCSA 両者への対応が可能となっている.また,わが国では,ASV はSDB の有無にかかわらず心不全における肺うっ血を改善する効果も期待されている473).肺うっ血の残存する心不全では,肺静脈や肺毛細管圧が上昇し,肺胞への水分濾出を来たす.また,肺間質の浮腫,肺コン プライアンスの低下,気道抵抗の増加を来たし,換気血流比が悪化している.ASV により,PEEP を加えることによって,肺毛細管からの水分濾出軽減,無気肺・虚脱肺胞の再拡張,機能的残気量の増加,肺コンプライアンスや気道抵抗の改善,呼吸筋仕事量の軽減が期待される(図20) 497).さらに,生理的に陰圧である胸腔内を陽圧化することにより,静脈還流を減少して,前負荷を軽減し,左室収縮時に左室壁にかかる力(transmural pressure)を減少させることにより,心臓の後負荷を減少させ,心拍出量の増加,左室拡張末期圧の低下,機能的僧帽弁逆流の軽減が期待される. 5.3.5 横隔神経刺激療法(PNS) PNS は,睡眠中に横隔神経に電気刺激を与え,CSA エピソード中に横隔膜の筋肉を収縮させて呼吸をさせる方法で,患者のアドヒアランスの影響を受けず,安全かつ効果的な中等症~重症の成人CSA 患者の治療として米国では食品医薬品局によって2017 年に植込み型デバイスのRemedē System が承認された504, 505).これは,パルスジェネレーター,刺激リード,感知リードから構成されており, CPAP ASV Bi-level PAP 0 10 20 30sec 0 10 20 30sec 0 10 20 30sec Pressure support Pressure support Pressure (cm H2O) 15 10 5 0 15 10 5 0 15 10 5 0 呼気気道陽圧 呼気気道陽圧 呼気気道陽圧 吸気気道陽圧 吸気気道陽圧 図18 陽圧換気療法における呼吸モード(義久精臣ほか.2019 497)より)