p.42 抽出テキスト
ターから刺激リードを介して運動神経である舌下神経に電気刺激を送り,吸気時に気道を拡大し閉塞を防止する(図16).2014 年には多施設前向き臨床試験(STAR Trial)が行われ,登録された929 人の参加者のうち,最終的に124人(年齢54.5 歳,男女比83:17,白人97%,BMI 28.4)がフォローされた.12 ヵ月のAHI の中央値は,29 から9と68% 減少し435),その後,3 年,5 年後のフォローアップによる有効性が報告された436, 437).2019 年にはSTAR trial,German cohort,US cohort,ADHERER registry の計584 人の成績がまとめられ,外科治療基準(治療後, AHI <20 かつ50% 以上の減少) 438)で77.1% の効果が報告された439).さらに,2020 年には欧州医療技術評価ネットワークが,植込み型舌下神経刺激装置4 機種(Inspire2, Apnex,Genio,Aura6000system)について有効性と安全性について,1 つのRCT を含む8 つの文献の検討を行い, AHI,ODI,SpO2 <90%,ESS,睡眠アンケートの機能的結果において有意な改善を認め,安全性については患者1 人あたり平均1.02 件の有害事象(デバイスに関連する不快感/ 痛みなど)が報告され,3.4% の患者が重篤な有害事象(デバイスの交換および再挿入など)であった440).ドイツ睡眠学会は2017 年のガイドライン441)で,米国耳鼻咽喉科学会は2019 年のポジションステートメント442)でOSA に対する植込み型舌下神経刺激装置による治療の位置づけを明らかにし,米国,ドイツでは2019 年時点において約5,000 人が本治療を受けたとされる.わが国においては2021 年6 月に保険収載され,以下が適応基準となる(表25). 2021 年にAASM は外科治療のコンサルテーションに関 する臨床ガイドライン418)を公表したが,植込み型舌下神経刺激療法は1陽圧治療不耐または受容しない患者に対する代替としての睡眠外科治療(強い推奨)に位置付けられ,今後,わが国でも臨床応用が期待される. 5.3 CSA の治療 5.3.1 心不全治療のCSA への効果 a.薬物治療(表26) ここでは心不全患者でみられるCSA-CSR に対する薬物治療について述べる.LVEF にかかわらず心不全に合併するCSA は心不全自体によりもたらされるので,ガイドラインに基づいた心不全治療の最適化が基本となる443).実際にこのようなCSA に対して,いくつかの心不全治療薬の有効性が示されている.慢性心不全患者(NYHA 心機能分類II/III)において,HFrEF の標準治療薬であるアンジ 表25 植込み型舌下神経刺激療法の適応基準 1 AHI が20 以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群であること. 2 CPAP 療法が不適または不忍容であること. 3 扁桃肥大等の重度の解剖学的異常がないこと. 4 18 歳以上であること. 5 BMI が30 kg/m 2 未満であること. 6 薬物睡眠下内視鏡検査で軟口蓋の同心性虚脱を認めないこと. 7 中枢性無呼吸の割合が25% 以下であること. 図16 Inspire Medical System 社の刺激装置の構成Inspire® Upper Airway Stimulation – P130008/S039 | FDA https://www.fda.gov/medical-devices/recently-approved-devices/inspirer-upperairway-stimulation-p130008s039?msclkid=84c49a7dbbb811ec95242a110c260a76 刺激リード 植込み型パルスジェネレータ(IPG) センシングリード