p.38 抽出テキスト
いるもの(図15)を参照されたい2). OSA 患者の治療を進めるにあたっては,図15 のアルゴリズムを参照しつつ個々の患者の治療目標を踏まえてCPAP 治療を選択することが重要である. OSA 患者に対するCPAP 治療には,交感神経活性の抑制作用169, 381, 382),炎症マーカーの低下作用184, 383, 384),血管内皮機能改善作用385),降圧作用386, 387),左室拡張能改善作用388),夜間心筋虚血の改善389)など,心血管イベント発症に関連する病態の改善が示されており,RCT では,質問票による眠気の改善390, 391),QOL 改善392)などが報告されているが,RCT によると,心血管イベントの予防を目的としたCPAP 治療の有効性は確立していない68, 393, 394). しかし,上記のRCT の解釈には注意すべきポイントがあり,強い日中の眠気を呈する患者を倫理的な観点から対 象より除外している点や,CPAP 治療のアドヒアランスが不十分であることなどがあげられる. 最近の研究では,OSA 患者を年齢・性別やBMI などの臨床的背景,自覚症状やPSG 検査上の特徴(閉塞性無呼吸の割合や低酸素血症の程度)を用いてクラスター解析することにより,複数のphenotype に分類し,CPAP 治療が有効である患者を推定しながら治療戦略を立てる提案がなされている395).この方法は,いまだにRCT 試験によるエビデンスが確立されておらず,さらなる検討が必要である. CPAP 導入患者の一部には,アドヒアランスが良好に維持できない例や,CPAP 治療導入当初の自覚症状の改善は著しかったが,その後,昼間の眠気が残存する例,鼻閉や 図15 保険診療を考慮した睡眠時無呼吸の診断と治療のアルゴリズム*: AHI には,PSG のAHI,簡易モニターのrespiratory event index(旧来の本邦のrespiratory disturbance index),oxygen desaturation index が含まれる.点線: 考慮してよい検査または治療選択肢(日本循環器学会.循環器病の診断と治療に関するガイドライン[2008-2009 年度合同研究班報告]循環器領域における睡眠呼吸障害の診断治療に関するガイドライン〈https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2010momomura.d.pdf〉を参考に作成)「日本呼吸器学会,厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業『難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究』班(監).睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会(編): 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020,p.vii, 2020, 南江堂」2)より許諾を得て転載. 睡眠時無呼吸が疑われる生活習慣の是正 肥満症状に対する減量, 減量が困難であればBMI ≧35 kg/m 2 で手術療法を考慮 簡易モニター(多点感圧センサーを含む) AHI* <40/hr PSG 睡眠時無呼吸は 否定的 自覚症状なし 経過観察 体位治療 AHI* ≧40/hr 自覚症状あり AHI ≧20/hr AHI <5/hr 5/hr ≦AHI <20/hr OA 療法 自覚症状あり 体位治療 CPAP 療法 使用困難 上気道疾患あり顔面形態異常あり 外科的手術考慮