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p.33 抽出テキスト

4.2.4 治療時出現CSA(TECSA)

a.定義

TECSA は,以前は複合性睡眠時無呼吸症候群(complex sleep apnea syndrome)とよばれていたが,閉塞タイプ呼吸イベントが主体と診断された患者の,おもにCPAP 治療時に,診断上問題となる中枢タイプ呼吸イベントが生じてくる現象を指している(図14).CPAP タイトレーション時のみならず,耳鼻科的手術治療後267),あるいはマウスピース治療時268)やその他の治療に際してもこうした現象が生じることは知られている269).Morgenthaler らは,CPAP タイトレーションが閉塞タイプ無呼吸低呼吸のイベントを消失させた後にCAI が5 以上残存するか,CSR が出現して呼吸が分断されるものをcomplex sleep apnea syndromeと初めて定義したが270),現在,TECSA はICSD-3 で以下の【A】~【C】の基準を満たす,CPAP 治療時に生じる現象とされている3).【A】PSG では,睡眠1 時間あたり5 回以上の閉塞性優位な呼吸イベント(閉塞性または混合性無呼吸・低呼吸あるいはRERA)を認める.【B】バックアップ換気なしの陽圧呼吸使用下でのPSGで,閉塞性イベントの大幅な改善と中枢性無呼吸あるいは中枢性低呼吸の出現あるいは残存が認められ,以下のすべてを満たす.

1 CAHI が睡眠1 時間あたり5 回以上2 中枢性無呼吸と中枢性低呼吸の数が無呼吸と低呼吸

の50% 以上【C】中枢性無呼吸がほかの中枢性睡眠時無呼吸障害(CSA-CSR や薬物または物質によるCSA など)では説明できない. b.頻度

当初,諸外国での検討では,OSA 患者の15 ~25% に生じると報告され,非常に高頻度に生じる現象と考えられたが270-272).その後のシステマティック・レビューなどでは

2.5 ~20% と報告されている270-280).わが国における3 つ

の調査では,CPAP タイトレーション時に4,582 人中194人(4.2%) 281),1,312 人中66 人(5.0%) 277),297 人中17 人(5.7%) 279)が報告されており,諸外国からの報告に比較して少ない.ICSD-3 の定義には入らないが,最近,わが国でも開始された舌下神経刺激装置によるOSA 治療では, 141 人の治療のうち5 人に生じたが,3 人で自然消失し,結局1 人のみ永続したと報告されている282). c.誘因・発生機序

TECSA の発生リスクに関しては,Split night タイトレーションを行った場合280),AHI や覚醒指数の高い場合や最適CPAP 圧が高い場合272),男性でBMI が小さい場合271, 283),あるいは,中枢性無呼吸指数が診断PSG の全体で275),または仰臥位・ノンレム睡眠期に大きいものが有意にTECSA を生じやすかったとする報告もある279).循環器疾患との関連については,心不全患者に多いという

図14 治療時出現中枢性睡眠時無呼吸の例Flow: 気流,THO: 胸郭運動,ABD: 腹部運動,SpO2: 経皮的酸素飽和度. CPAP 治療前(上段)には閉塞性睡眠呼吸障害であったものが,CPAP 治療時(下段)に中枢性睡眠呼吸障害に変化している.

CPAP(−)

CPAP(+)