p.21 抽出テキスト
サーを,低呼吸は鼻圧センサーを用いて判定するといった指定はされていない.どのようなセンサーを用いたかにより,無呼吸あるいは低呼吸のイベント数は変化しうる.わが国では鼻圧センサーを用いた機器が多く,低呼吸を無呼吸と判定してしまうことがありうる.また口呼吸を呼吸イベントと誤って判定する可能性もある. 無呼吸の判定基準は,PSG と同様に,気流の振幅が比較基準の90% 以上低下している状態が10 秒以上持続する状態であるが,サーミスタセンサーで記録をしていない場合は,鼻圧センサーを用いて判定してよい. 低呼吸の判定には,PSG の推奨基準では気流の振幅基準に加えてSpO2 の低下あるいは覚醒反応を伴うことが条件となっていたが,睡眠を記録していない簡易モニターではSpO2 の低下のみで判定する.推奨基準では3%, Medicare に準拠した代替基準では4% の低下が条件となる. PAT センサーを利用する簡易モニターの場合,REI を推定するためにpAHI を用いる. e.心臓ルール 心臓イベントとしてスコアリングする項目としては,洞性徐脈,洞性頻脈,心静止,頻脈発作,心房細動があげられている.洞性徐脈,洞性頻脈については,呼吸イベントや覚醒に関連した心拍変動を考慮する必要がある. 3 疫学 3.1 OSA の疫学 一般人口におけるSDB の有病率については数多くの報告があるが(表12) 41-46),コホート研究での適性という観点から簡易モニターを用いた研究が多いため,OSA とCSA を明確に区別できていない報告が多い.しかし一般人口においては,CSA の有病率はOSA に比べてきわめて少ないと考えられ,SDB 有病率≒OSA 有病率と理解される.1980 年代後半からの20 ~30 年のあいだに,肥満患者の増加や検査機器の精度向上,人口の高齢化等に伴い経時的に有病率は増加している. 世界各国のOSA 有病率を,AASM 2012 criteria に基づいた独自のアルゴリズムで推定すると,わが国のOSA 有病者数(有病率)はAHI ≧5 で約2,200 万人(32.7%), AHI ≧15 で約940 万人(14.0%)とされている44).1995年に報告されたわが国の一般住民910 人を対象とした疫学調査では,AHI ≧10 は男性3.3%,女性0.5%(全体で 1.7%)であった47, 48). 3.1.1 循環器疾患とOSA(図8) OSA と循環器疾患との関連性は強く,双方の合併頻度が高いだけでなく,OSA により循環器疾患の病態が修飾される.SHHS のベースラインデータでは,AHI ≧11 における循環器疾患合併のオッズ比は,心不全2.4,脳卒中1.6,冠動脈疾患1.3 であった49). a.高血圧 OSA(AHI ≧5)患者の約50% に高血圧が認められ,逆に高血圧患者の59%(AHI ≧5)にOSA が認められる50-52).睡眠時間で補正された3%ODI で評価したわが国の研究では,高血圧患者の約20% にSDB(3%ODI ≧15)を認めている53).SHHS のベースラインデータでは,体格(BMI,首周り径,ウェスト・ヒップ比),アルコール摂取量,喫煙量などで補正したうえで,AHI ≧30 群とAHI <15 群を比較したところ,AHI ≧30 群で有意に高血圧罹患率が高かった54).治療抵抗性高血圧患者におけるOSA 有病率はさらに高く,83%(AHI ≧10) 55),64%(AHI ≧15) 56)と報 告されている. b.糖尿病 9 つのコホート研究のメタ解析によれば,OSA は2 型糖尿病発症のリスク因子である(相対リスク: 1.4) 57).OSA患者(AHI あるいは4%ODI ≧5)における2 型糖尿病の有病率は15 ~30% と報告されている58-60).また,OSA の重症度が増すと2 型糖尿病の有病率も高くなる(オッズ比: 表12 SDB の有病率 評価指標男性の有病率 (%)女性の有病率 (%) WSC 41) AHI ≧5 24 9 WSC 42) (1988 ~1994) AHI ≧5 26.4 13.2 WSC 42) (2007 ~2010) AHI ≧5 33.9 17.4 HypnoLaus 43) AHI ≧5 83.8 60.8 AHI ≧15 49.7 23.4 CIRCS 45) 3%ODI ≧5 39.7 18.6 3%ODI ≧15 8.9 2.2 Nagahama 46) 3%ODI ≧5 81.0閉経前閉経後 25.8 60.2 3%ODI ≧15 23.7 1.5 9.5 3%ODI ≧30 4.4 0 1.2