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p.49 抽出テキスト

報告もある491).冠攣縮性狭心症患者で,特に院外心停止の既往がある患者では不整脈基質が存在する可能性はあるが,ICD適応を検討するためのEPSについての意義は確立していない.

その他の検査として,QTディスパージョン,T波交互現象(TWA)などがVT/VFの発生と関係していることが報告されている.冠攣縮性狭心症患者においてQTディスパージョンは大きく,中でもVT/VFを認めた群は認めなかった群よりQTディスパージョンが有意に大きかったことが報告されている492).TWAに関しても同様で,冠攣縮性狭心症患者でのTWA発現率が高く, VT/VFを有する群は有さない群と比較して有意に変動が大きかった493).このようにQT ディスパージョンやTWAは冠攣縮性狭心症患者において,VT/VFと関係している可能性があるが,ICD適応を決定できるほどのエビデンスはない.

3.2 星状神経節ブロック,胸部交感神経節 切除術

難治性あるいは重症冠攣縮性狭心症に対する非薬物治療として,星状神経節ブロックおよび胸部交感神経節切除術について記載する.なお,これらの治療はわが国では狭心症には保険適用外である.

冠攣縮には自律神経機能異常が関与しており494),深夜もしくは安静時といった迷走神経の活動が高い時に起こること,アセチルコリンで誘発されることは,副交感神経の関与を裏づける297, 363).一方,冠攣縮の際の血中カテコラミンレベルの増加や,夜間レム睡眠時の冠攣縮の出現は,迷走神経緊張の減少と交感神経を介したアドレナリンの増加を示し,交感神経の関与を示唆する495, 496).現在では交感神経,副交感神経のバランスが崩れて交感神経系の活動が優位になることが,冠攣縮に影響を与えていると考えられている497).また,交感神経系を介した血小板凝集により冠攣縮発作が惹起される可能性も指摘されている498, 499).労作時やストレス時に発作が生じる場合には,心筋酸素需要の増大も関与している可能性もある.

星状神経節ブロックや胸部交感神経節切除術は,1 血管平滑筋を収縮させるアドレナリンα 1受容体へのノルアドレナリン結合をブロックする作用,2 α 2受容体を介する血小板凝集によるセロトニンの遊離をブロックする作用, 3 胸部交感神経節切除時に認められる心拍数および収縮期血圧低下による心筋酸素需要の低下,4 虚血による痛覚の知覚神経経路を一部遮断することによる除痛効果,などの機序により狭心症を改善すると考えられる(図18).また,交感神経抑制,心拍変動およびQTディスパージョ

有効な場合でも推奨クラスIIbとすることが妥当と考えられる(表25)

149, 476–482).また,ASCDの患者では急性期に

着用型自動除細動器(wearable cardioverter defibrillator: WCD)を使用することも考慮される483).

3.1.3 致死性不整脈発生の危険因子

冠攣縮性狭心症患者では,多枝冠攣縮や器質的冠動脈病変を有さない限り,禁煙およびCa拮抗薬を継続すれば,長期生存率は高いと報告されている484).一方,ASCD 188人を含む2,032人の冠攣縮性狭心症患者を対象とした検討では,若年,高血圧,脂質代謝異常症,SCDの家族歴,多枝冠攣縮,左前下行枝の冠攣縮がASCDの危険因子であった477).また,心電図での早期再分極(ER)はVT/VFの危険因子と考えられている.冠攣縮性狭心症 265人の検討では,全体の64人(24%)にER patternを認め,VF既往群ではER patternが有意に多かった.VFの再発は,VF既往やER patternを認める例で有意に多かった485).最近のシステマティックレビューでは,ER patternがあるとVFのリスクは約5倍になるとされている486).逆にVF既往のある34人のER患者を対象とした報告では,13人(38%)の患者に冠攣縮性狭心症を認めており,両疾患の合併には注意が必要である487).さらに,ブルガダ症候群においても冠攣縮性狭心症の合併を認めることがある.冠攣縮はブルガダ症候群の不整脈基質に相加的あるいは相乗的に作用してVFを誘発する可能性が報告されており, 冠攣縮性狭心症でのASCD 症例ではブルガダ症候群の合併の有無を十分に評価する必要がある488, 489).

3.1.4 致死性不整脈発生リスク評価法

電気生理学的検査(electrophysiological study: EPS)はVT/VFのリスクを評価する場合に使用される.EPSによるVT/VFの誘発率は冠攣縮性狭心症患者で有意に高いことが報告されている490).また,院外心停止既往の患者において,EPSでVT/VFが誘発される例が多くみられるとの

表25 冠攣縮性狭心症に対するICD 適応の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

冠攣縮にともなう院外心停止を含むVT/ VF 既往例で内科的治療に抵抗性の場合, ICD 植込みを考慮する149, 476–482). IIa B冠攣縮にともなう院外心停止を含むVT/ VF 既往例で内科的治療が有効な場合, ICD 植込みを考慮してもよい149, 476–482). IIb C