p.48 抽出テキスト
トリーと考えられており474),急性期後期は遅延後脱分極や早期後脱分極を介した撃発活動が想定されている475). 3.1.2 致死性不整脈およびICD適切作動 冠攣縮性狭心症患者は,心臓突然死(SCD)を併発することがあり,内科的治療に抵抗性の場合や院外心停止既往例では,その発生率が高いと報告されている149).わが国の34施設から回答が得られたアンケート調査では,2014 ~2018年の5年間で5,726人のSCDを認め,冠攣縮性狭心症によるSCDは808人(14%)であった476).冠攣縮性狭心症によるSCDのうち,蘇生された心停止(ASCD)は169人(21%)で,そのうち117人(69%)でICDが使用された. 冠攣縮性狭心症での予後やICDの有用性に関する報告は多くないが(表24) 477–481),最近のシステマティックレビューでは482),平均観察期間4.2年で,冠攣縮性狭心症患者の6%が死亡しており,ASCD患者では心停止既往がない患者と比較して死亡率が高かった(9% vs. 5%).またASCD患者のうちICD植込みを受けた患者は受けなかった患者に比べて死亡率が低く(3% vs. 14%),ICDの適切作動も17%に認められた.難治性冠攣縮性狭心症患者に限られたことではないが,ICDの植込みを行っても無脈性電気活動(pulseless electrical activity: PEA)で死亡することがあることも報告されている476). これらを踏まえ,ASCDを含むVT/VF既往例について,内科的治療に抵抗性の場合は推奨クラスIIa,内科的治療が 用のためにニコランジルを使用できない難治性冠攣縮性狭心症に対して桂枝茯苓丸を用い,長期間にわたり胸痛が完全に予防できたとの症例報告がある468). 冠攣縮性狭心症に使用されているその他の漢方薬としては,硝酸薬投与患者に対する柴朴湯も症状を改善する可能性がある469, 470).冠攣縮性狭心症と診断され,2種類以上の冠拡張薬でコントロール困難であった難治例に柴朴湯を追加投与し,胸痛発作の著しい減少およびQOLの向上を認めた3症例が報告されている469)(表23) 465, 468–470). しかし,四逆散,桂枝茯苓丸,柴朴湯を含む漢方薬については多くの症例報告で有効であるが,有効症例のみ報告されている可能性がある.また最近の報告や比較対照群を有する多数例での研究報告がない.一部の症例では標準的薬剤の補助療法として有効である可能性はあるが,その投与量等も含めさらなる研究結果がまたれ,現時点では,予防効果が十分に証明されているとはいえない. 3 非薬物治療 3.1 ICD植込み 3.1.1 致死性不整脈発生機序 冠攣縮性狭心症で致死性不整脈(心室頻拍[VT]/心室細動[VF])を併発するメカニズムについて,詳しくはわかっていない.冠攣縮による虚血が再分極異常を引き起こすこと471)や冠攣縮での虚血により形成された心筋瘢痕が関与する472)と考えられている.冠動脈結紮モデルにおいて,急性期前期(虚血30分以内)と急性期後期(虚血12~ 48時間以内)で機序が異なることが報告されている473).急性期前期は虚血により発生した傷害心筋に関連したリエン 表24 冠攣縮性狭心症患者における死亡率とICD 適切作動率 研究平均( *中央値)観察期間(年)観察期間中の死亡率(%) ICD 適切作動率(%)全体心停止既往 なし心停止既往あり 全体ICDなしICDあり Ahnら 2016 477) 7.5 * 8 8 13 14 4 21 Rodriguezら 2018 478) 4.9 * 10 NA 10 40 7 27 Vlastraら 2018 479) 7.5 3 0 9 0 13 25 Oginoら 2021 480) 4.2 * 9 NA 3 NA 3 20 Tateishiら 2021 481) 3.2 15 NA 11 0 20 60 表23 冠攣縮性狭心症患者に対する漢方薬の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 冠攣縮性狭心症患者に対し,漢方薬の投与を考慮してもよい465, 468–470).(本ガイドラインは適応外使用を推奨するものではない) IIb C