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p.39 抽出テキスト

3.3.3 MINOCAの診断における心臓MRIの意義

TP-NOCA患者の心筋傷害の原因を鑑別するうえで,心臓MRIは有用である(表16) 386, 387).心臓MRIで実施する代表的な撮像法として,シネMRIやT2強調画像,遅延造影MRIなどがある.遅延造影MRIではガドリニウム造影剤の投与が必要であるが,シネMRIやT2強調画像は造影剤を用いずに撮像することができる.

シネMRIでは,空間分解能の高い動画像を得ることができ,局所壁運動異常を検出することができる.任意の撮像断面を設定することができ,心臓超音波検査では評価が困難な右心室の評価も可能である.

T2強調画像では,浮腫のある組織を高信号に検出することができる.急性心筋梗塞や急性心筋炎,たこつぼ症候群により傷害された心筋はいずれもT2強調画像において高信号に描出されうる.

遅延造影MRIでは,心筋傷害の原因疾患によりさまざまなパターンの遅延造影所見を得ることができる.通常,心筋梗塞では冠動脈支配領域に一致して心内膜下優位あるいは貫壁性に遅延造影が認められる388).一方,心筋炎では,心筋の中層や心外膜側に遅延造影が認められることが多い388).たこつぼ症候群においては,通常遅延造影は認められない場合が多いが389),急性期には遅延造影を認める症例があることも報告されている390, 391).

ガドリニウム造影剤を用いた心臓MRIにより,TP- NOCA患者の87%で原因疾患を特定することができたと報告されている(急性心筋炎:37%,たこつぼ症候群:27%,急性心筋梗塞:21%)

387).また,TP-NOCA患者556人を含

むメタ解析において,ガドリニウム造影剤を用いた心臓MRIにより21%の患者で心筋梗塞を認め,33%の患者で心筋炎を認めたと報告されている386).

冠血流予備量比(FFRCT)が登場し,これらの弱点を補完しうる検査法として注目されている.また,負荷心筋パーフュージョンCT(CTP)を実施することで,心筋虚血の診断,さらにはMBFの定量評価も可能となってきている. d. FFRCT

FFRCTは,通常のCCTA画像から後解析により非侵襲的にFFRを推定する検査手法である.通常のCCTA画像から作成された冠動脈の3次元解剖学的モデル,および生理学的モデルをもとに,流体力学解析を適用して血流動態をシミュレーションし,冠動脈の各部位におけるFFRの推定値をFFRCT値として算出する.NXT試験では,侵襲的FFRで示された虚血を標準とした場合に,従来のCCTAと比較してFFRCTを用いることで,特異度や陽性適中率が向上することが示されている(CCTA:感度 94%,特異度34%,陽性適中率 40%,陰性適中率 92%,FFRCT:感度 86%,特異度79%,陽性適中率 65%,陰性適中率93%) 383).また,CCTAの画質がFFRCT値を解析するのに十分なものであれば,FFRCTはSPECTやPETと比較しても,高い診断能を有することが示されている176).

わが国でも,ハートフローFFRCTが2018年12月に保険収載されたが,適応となる施設は限定されている. e. 負荷心筋パーフュージョンCT(CTP)

CTPは,アデノシンやATPなどの冠血管拡張薬による負荷を併用し,静注されたヨード造影剤による心筋の造影効果を観察することで心筋虚血の評価を行う検査法である.CTPによる虚血診断能は高く,FFRを併用した冠動脈造影検査を標準としたメタ解析により,SPECTを上回りPETや負荷心筋パーフュージョンMRIに匹敵する診断能が報告されている(感度88%,特異度80%) 376).

CTPには,1心位相の画像データから評価を行う静的(static)CTPと,心筋への造影剤の初回循環を経時的に撮像するダイナミック(dynamic)CTPがある.冠動脈造影検査によるFFRを基準としたメタ解析では,いずれの撮像法でも高い診断能を有することが報告されている(静的CTP:感度72%,特異度90%,ダイナミックCTP:感度85%,特異度81%) 384).静的CTPでは相対的に被曝量を低減できる一方,ダイナミックCTPでは,MBFを定量評価できるという特徴がある.CTPでは,CCTAを同時に評価することにより閉塞性冠動脈疾患の有無についても併せて検査できるという特徴があり,INOCAの診断における有用性に関する報告も認めるようになってきている385).ただし,負荷心筋パーフュージョンMRI検査同様,薬物負荷に用いるアデノシンやATPなどの冠血管拡張薬はCTP検査用医薬品として保険収載されていない.表16 MINOCA の診断における心臓MRI の推奨と

エビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

TP-NOCA 患者における心筋傷害の原因検索のためにガドリニウム造影剤を用いた心臓MRI を考慮する386, 387). IIa B