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p.38 抽出テキスト

には,冠血管拡張薬による負荷中に撮像した心筋パーフュージョンMRI画像において,心外膜側の心筋に比較して心内膜側の心筋が低信号に描出される.心外膜冠動脈に有意狭窄を認めない症例において,このような心筋虚血を示唆する所見が得られた場合には,CMDの関与を疑う377, 378).また,安静時と負荷時の心筋パーフュージョンMRI画像における,心筋の信号強度の経時変化から,MFRの半定量的評価指標であるmyocardial perfusion reserve index(MPRI)を評価することもできる.MPRIを用いることで,カテーテル検査により診断されたCMDを有する患者を検出することが可能であることも報告されおり373),予後との関連も示されている372, 374).

負荷心筋パーフュージョンMRI検査によるMBFの定量的評価法も開発が進んでいる.負荷心筋パーフュージョンMRI検査により定量評価したMBFは,PETにより評価したMBFと良好に相関するとの報告もあり,CMDの評価法として期待がもてる379).ただし,造影剤のdual bolus approachあるいはdual sequence,専用ソフトが必要であり,現状臨床で広く用いられるにはいたっておらず,今後さらなるエビデンスの蓄積が期待される.

薬物負荷に用いるアデノシンやATPなどの冠血管拡張薬は負荷心筋パーフュージョンMRI検査用医薬品としてはわが国において保険収載されておらず,本検査法の普及への障害となっている.また,心房細動などの不整脈が画質の低下につながりやすいことや,腎機能障害のある患者(長期透析が行われている終末期腎障害,非透析例でeGFRが30 mL/min/1.73 m 2未満の慢性腎不全,急性腎不全など380))ではガドリニウム造影剤を用いることができないという点は,本検査法の欠点である.しかし,PETとは異なり放射線被曝はなく,遅延造影MRIと組み合わせることで,心筋梗塞やその他の心筋症についても1回の検査で併せて評価する事もできるという利点がある. c. CCTA

CCTAは,閉塞性冠動脈疾患の診断において高い陰性適中率を有しており,冠動脈疾患が疑われる症例において,主に閉塞性冠動脈疾患の除外を目的に実施される367, 381).閉塞性冠動脈疾患を有さない患者においても,心筋虚血を示唆するような症状を有する場合には,INOCAの可能性を念頭に置いて評価をすすめていく必要がある.一方, CCTAの弱点として,閉塞性冠動脈疾患の診断における陽性適中率は十分とはいえず367, 382),CCTAで50%以上の狭窄病変が診断されても,侵襲的冠動脈造影検査では50%以上の狭窄病変は認めないことも少なくない.また通常のCCTA単独では,検出された冠動脈狭窄が機能的有意狭窄であるかどうかの評価も困難である.近年,CTによる

a. 13N-アンモニアPET PETでは

15O-水, 13N-アンモニア, 82ルビジウム( 82Rb)

といったトレーサを用いることで,心筋血流量(MBF)の定量評価ができる.MBFの非侵襲的な定量評価法としては,これまでにもっとも多く研究されてきており,ゴールドスタンダードといえる375).

トレーサの注入と同時か少し前からリストモードによる撮像を行い,ダイナミックデータを収集し,コンパートメント解析などの数理モデルを用いてMBFの評価を行う.また,アデノシンなどによる薬物負荷を行うことで,血管内皮非依存性の心筋内血管拡張によりMBFは増加するが,負荷時のMBFを安静時のMBFで除することにより,心筋血流予備能(MFR)が得られる.MFRは心外膜冠動脈狭窄およびCMDいずれにおいても障害されうるが,心外膜冠動脈に有意狭窄を認めない症例においては,冠微小血管機能評価に用いることができる.そして,心筋血流PETにより評価したMFRの低下は冠動脈狭窄の重症度とは独立して,心血管イベントに関連することが示されている174).また,心筋血流PETを用いてCMDの重症度を評価した研究において,MFRが2.0未満の患者では,MFRが保たれた患者と比較して,3年間の心イベント発生率が高いことが示されている88).

わが国では, 13N-アンモニアPET検査のみが,他の検査で判断のつかない虚血性心疾患の診断を目的として行う場合に保険適用となっている.しかし, 13N-アンモニアは施設内において小型サイクロトロンを用いた合成が必要なため,実施可能な施設が限られている. b. 負荷心筋パーフュージョンMRI

負荷心筋パーフュージョンMRI検査を行うことにより,心筋血流の低下を視覚的あるいは半定量的に評価することができる.負荷心筋パーフュージョンMRI検査による虚血診断能は高く,FFRを併用した冠動脈造影検査を標準としたメタ解析により,単光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)を上回りPETに匹敵する診断能が報告されている(PET: 感度84%,特異度87%, MRI: 感度89%,特異度87%,SPECT: 感度74%,特異度79%) 376).心筋パーフュージョンMRI検査は,ガドリニウム造影剤をボーラス静注して心筋のダイナミックMRIを撮像し,ガドリニウム造影剤の心筋初回循環の動態を評価する検査法である.心筋虚血の評価のためには,アデノシンやアデノシン三リン酸(ATP)などの冠血管拡張薬による負荷を併用する必要がある.血流が保たれた心筋においては,ガドリニウム造影剤が心筋を灌流する際に高信号に描出されるが,血流が低下した心筋では信号強度の立ち上がりが緩徐であり,また相対的に低い信号強度にとどまる.心筋虚血を有する場合,典型的