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p.28 抽出テキスト

1 冠攣縮性狭心症の診断基準

1.1 2013年改訂版とその後の改訂課題

冠攣縮性狭心症の診断基準に関しては,2008年までは施設ごとの独自の判断基準で行われているのがわが国の現状であったが293),2008年版および2013年改訂の「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン」1, 2) にて,それまでの報告などを参考に診断基準の統一が図られた.冠攣縮性狭心症の診断に関しては,ニトログリセリンによりすみやかに消失する狭心症発作で,1安静時(とくに夜間から早朝にかけて)に出現する,2運動耐容能の著明な日内変動(早朝の運動能の著明な低下)が認められる,3心電図上のST上昇を伴う,4過換気(呼吸)により誘発される,5Ca 拮抗薬によって抑制されるがβ 遮断薬によっては抑制されない,などの5つの条件のいずれか1つが満たされれば,冠動脈造影検査を施行しなくても診断が可能である294).ガイドライン2013年改訂版2)は本見解に基づいて作成されており,同改訂以降に提示された冠攣縮性狭心症の診断基準に関する国際標準化の取り組みにおいても,この見解が反映されている9, 295). 診断基準の中に参考項目を設定し,「冠攣縮性狭心症確定」,「冠攣縮性狭心症疑い」,「冠攣縮性狭心症否定的」の3段階で診断基準を作成した2013年のガイドライン改訂版2)の概要について変更はない.しかしながら,冠攣縮薬物誘発試験における冠動脈造影上の冠攣縮陽性の診断基準に,「びまん性冠攣縮」を含めるか否かに関しては,さらなるエビデンスの集積が必要との判断にて,2013年改訂時より検討課題となっていた.本フォーカスアップデート版では,国内外からの報告を踏まえ,「びまん性冠攣縮」を冠攣縮陽性診断基準に含めることとした.以下に冠攣縮性狭心症の診断基準を示し,診断アルゴリズムを図11 168, 296–299)に示した. 1.2 「確定・疑い」の診断基準

下記の条件1~3のいずれかにおいて,要件を満たす例を冠攣縮性狭心症「確定・疑い」とし,これらに該当しない例は冠攣縮性狭心症「否定的」とする.臨床的には,冠攣縮性狭心症確定例と疑い例を冠攣縮性狭心症と診断する. ●条件

以下の 1~3のいずれか. 1自然発作2 冠攣縮非薬物誘発試験(過換気負荷試験,運動負荷

試験など) 3 冠攣縮薬物誘発試験(アセチルコリン,エルゴノビン

など) ●要件【冠攣縮性狭心症確定】

発作時の心電図所見上,明らかな虚血性変化が認められた場合*1.その心電図所見が境界域の場合は,病歴,発作時の症状に加え,明らかな心筋虚血所見もしくは冠攣縮陽性所見が諸検査*2によって認められた場合とする.発作時の心電図変化が陰性もしくは心電図検査非施行の場合でも,下記の参考項目を1つ以上満たし,明らかな心筋虚血所見もしくは冠攣縮陽性所見が諸検査*2によって認められる場合は冠攣縮性狭心症確定とする.【冠攣縮性狭心症疑い】

発作時の心電図上虚血性変化が境界域で,明らかな心筋虚血所見もしくは冠攣縮陽性所見が諸検査*2により認められない場合,また,発作時の心電図変化が陰性もしくは心電図検査非施行の場合でも,下記の参考項目を1つ以上満たし,諸検査*2により,明らかな心筋虚血所見もしくは冠攣縮陽性所見が証明できない場合. *1:明らかな虚血性変化とは,12誘導心電図で関連する2誘導以上における一過性の0.1 mV以上のST上昇または0.1 mV以上のST下降か陰性U波の新規出現が記録された場合とする.虚血性心電図変化が遷延する場

第3章 診断に関する新たな知見