p.27 抽出テキスト
安静時と運動時に発症した急性心筋梗塞が1人ずつ報告されている285–287).また,妊娠・分娩時の冠攣縮性狭心症において,川崎病既往者が含まれていた288).川崎病冠動脈後遺症患者において,冠動脈の内皮機能異常について報告されているが,川崎病既往者に冠攣縮が生じやすいかどうかは不明である289–291).また,川崎病による冠動脈瘤退縮症例において,心外膜冠動脈の有意狭窄がない場合でも心筋血流量(MBF)の低下を示唆する報告がある292).川崎病既往者におけるCMDについては,今後解明されなければならない課題である. 6 川崎病既往と冠攣縮性狭心症 川崎病は5歳未満に好発する小児の急性熱性疾患で,原因不明の中小血管炎である.急性期の炎症により,特に冠動脈障害をきたしやすく,無治療では約20%に冠動脈瘤を生じる.最近では免疫グロブリン製剤を主体とした急性期治療により,冠動脈後遺症は2~3%に減少した284).川崎病既往患者における冠攣縮性狭心症の発症はまれである. 図10 小児期発症冠攣縮性狭心症の胸痛発症状況と心電図変化安静時発症が22人(71%)を占め(そのうち19人は12誘導心電図で所見確認),運動誘発・安静時が3人,運動を契機として発症した症例が6人みられた.安静時発症は早朝,就寝中にみられた.心電図所見は, ST上昇がもっとも多かった. 1985~2021年の症例報告のまとめ268-280). 安静時胸痛 19 人(61%)【12 誘導心電図】ST 上昇16 人ST 低下1 人陰性T 波2 人 計 31人 安静時胸痛 3 人(10%)【ホルター心電図】ST 上昇1 人ST 低下2 人 運動誘発•安静時胸痛 3 人(10%)【12 誘導心電図】ST 上昇 1 人ST 低下 1 人不明1 人 運動誘発胸痛 6 人(19%)【12 誘導心電図】ST 上昇2 人ST 低下1 人陰性T 波 1 人不明2 人