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p.26 抽出テキスト

部痛,胸部違和感,失神などで,上腹部痛や嘔気を伴うことがある.まれながら,歯痛,急性心筋梗塞,心室細動(VF)の発症による突然の心停止がある272–274).患者背景として,モヤモヤ病の合併や一酸化窒素関連の遺伝子変異,全身性の血管内皮機能の指標である反応性血管指数の低下などがあった275–277).また,筋ジストロフィーなどの心筋症患者における冠攣縮や薬物誘発による冠攣縮も報告されている281).

診断は,症状と発作時の心電図変化(2誘導以上におけるST上昇・ST低下),硝酸薬による発作の改善などで診断されることが多い.ホルター心電図において,胸痛に一致するST上昇・低下も診断の契機となることがある.心臓カテーテル検査における冠攣縮誘発試験,過換気や運動による誘発試験も施行されている(第3章 2. 冠攣縮薬物誘発試験を参照) 278).誘発試験は循環器内科医との協力が必要である.血液検査所見として,心筋トロポニン陽性,心筋逸脱酵素の上昇がみられる場合がある.治療は,硝酸薬の内服・静脈内投与,Ca拮抗薬で改善されることが多い277, 279, 280).難治性冠攣縮性狭心症の場合,発作が持続し,硝酸薬,Ca拮抗薬,硫酸Mgの持続静脈内投与が必要となることがある.急性心筋梗塞,心原性ショックを発症した場合は,血行動態を維持するために,集中管理を必要とする282).文献報告では,VF,心停止に至った症例に対して,植込み型除細動器(ICD)によるデバイス治療が施行されていた283).難治例の剖検所見では,多枝病変の冠動脈壁肥厚による冠動脈閉塞の報告がある272, 275).

4.3 治療

第二世代DESであるエベロリムス溶出ステントを留置された安定冠動脈疾患症例100人を長時間作用型ニフェジピン投与群と対照群に割り付けたNOVEL試験において,8 ~10ヵ月後にアセチルコリンによる冠攣縮誘発試験を実施した結果,対照群と比較してニフェジピン投与群で有意に過収縮反応が抑制された266).また,ニフェジピン投与群では,慢性期における血漿中の高感度CRP低下とアディポネクチン増加を認め,ニフェジピン長期投与の有益性と抗炎症効果の関連が示唆された266).一方,1枝病変に対してエベロリムス溶出ステントを留置された症例52人をβ遮断薬(ビソプロロール73%)群とCa拮抗薬(アムロジピン77%)群に割り付け,9ヵ月時のアセチルコリンによる冠攣縮誘発試験陽性率と,24ヵ月の主要心血管イベント(全死亡,非致死性心筋梗塞,不安定狭心症,脳血管疾患,再血行再建)を検討したところ,誘発試験陽性率は両群で同等(26.9%)であったが,発生した主要心血管イベントは全て冠血行再建であるもののβ遮断薬群でCa拮抗薬群より有意に減少していた(3.8% vs. 19.2%,P=0.01) 267).ただし,本報告は,少数例での検討で統計学的検出力が足りず,さらなる検討が必要である.

5 小児の冠攣縮性狭心症

小児期の冠攣縮性狭心症はきわめて少なく,症例報告として散見される.胸痛時に一過性のST上昇がみられた場合に疑うが,診断が難しいため確定診断に至る症例は少ない.1985~2021年の文献検索では,2000年代から増加し, 31人の報告があった(表11 268–280),図10 268–280)).発症年齢は6~19歳で,中央値は13歳,性差では,男子は女子の2倍であった.発症は,安静時と運動が契機となる場合があり,安静時の発症が2/3以上を占めた.症状は,前胸表11 小児期発症冠攣縮性狭心症の症例報告の

まとめ(1985~2021 年) 268–280)

症例数31性別*男20 /女10発症年齢(歳) 13(6~19)胸痛発症時安静時22(71%)運動誘発・安静時3(10%)運動誘発6(19%)失神4(13%)心筋梗塞4(13%)心室細動・心肺蘇生7(23%)死亡2(6%)心筋トロポニン陽性9(30%)アセチルコリン誘発試験陽性18(58%)家族歴(心疾患) 5(16%) *1人 性別の記載なし

表10 PCI 後狭心症症状持続・再燃時の冠攣縮誘発試験の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

PCI 後に狭心症症状が持続・再燃する患者において,冠動脈造影で器質的狭窄が否定された場合,アセチルコリンまたはエルゴノビンによる冠攣縮誘発試験の実施を考慮する. IIa C