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p.23 抽出テキスト

性に多く,夜間・早朝の安静時のみに狭心症を呈することが多いが,労作性狭心症も呈する221).労作時に心電図ST上昇を伴う症例も報告されている223).欧米からの報告においても女性に多く,安静時および労作時双方の胸痛を呈する158, 224).MVSは単独で狭心症の原因となりうるが,さらに心外膜冠動脈の攣縮による冠攣縮性狭心症においても,冠攣縮誘発試験において心外膜冠動脈に有意な攣縮を認めない段階で心筋虚血を生じる症例においては, MVSが心筋虚血に寄与していることが示唆されている104).心外膜冠動脈の攣縮とMVSが合併する症例は女性に多く,また病歴上,典型的な狭心症症状に加えて30分以上続く胸痛の既往が多い104).MVS患者の生命予後は悪くないものの,心筋梗塞を呈する例も報告されている46, 105, 112, 225).

INOCAおよびMINOCAにおけるMVSの有病率が報告されている(表9)

16, 46, 105, 158, 226–230).冠攣縮誘発試験の実施

率および冠攣縮誘発試験における冠静脈洞血乳酸測定の実施率には研究による差異がみられるが,INOCAと診断された症例の13~53% 105, 158, 226–228),MINOCAと診断された症例の16~54% 16, 46, 227, 229, 230)にMVSが存在すると報告されている.さらにMVSは,冠動脈の器質的狭窄病変に起因する不安定狭心症でも虚血の原因となる可能性があり,虚血性心疾患全般にわたって病態を修飾していると考えられる231).

3.3 診断

冠微小血管攣縮を疑う患者は, 1 狭心症様の安静時または労作時を問わない自覚症状

を有する55, 117, 222) 2 原因病変が明らかでない心筋梗塞の患者も対象とな

る230, 232) 3 心外膜冠動脈には,狭窄率<50%(冠動脈径)あるいは

3.2 疫学

MVSは1998年にわが国から報告されており103, 221),それ以降,MVS関連の報告は年々増加している.MVSは微小血管で生じる冠攣縮であり,冠動脈内へのアセチルコリンもしくはエルゴノビン投与により,心外膜冠動脈に有意な攣縮が認められないにもかかわらず心筋虚血所見(狭心症症状,心電図上の虚血性変化,心筋乳酸産生)や冠血流速度の低下(造影遅延やTIMIフレームカウントの増加)を生じることで診断される10, 55, 101, 221, 222).

冠微小血管の攣縮は,心筋酸素需要の増加を伴わない,供給低下による安静時虚血(supply ischemia)を生じると考えられる.実際の報告においては,MVSは閉経後の女

表8微小血管狭心症の診断基準

1 心筋虚血の症状

•  労作性かつ/または安静時狭心症•  狭心症様症状(息切れなど)

2 非閉塞性冠動脈疾患

•  冠動脈CTによる評価•  侵襲的冠動脈造影による評価※上記検査で,心外膜冠動脈に有意狭窄病変を認めない

3 心筋虚血の証明

•  胸痛発作時の虚血性心電図変化•  負荷に伴う胸痛かつ/もしくは虚血性心電図変化

4 冠微小循環障害(CMD)

•  CFRの低下•  MVS(薬物誘発試験において症状や虚血性心電図変化が再現し,心外膜冠動脈の攣縮を伴わない) •  IMRの増大•  冠動脈slow flow現象(TIMIフレームカウント>25) (Crea F, et al. 2022 16)を参考に作表)

表9 INOCA/MINOCA におけるMVS の割合

INOCA MVS(%) MINOCA MVS(%) Keisuke Ohba. et al. (2012)105) 13 Rocco A Montone, et al. (2018)46) 35.1 Peter Ong. et al. (2014)158) 24.2 Rafael Vidal-Perez, et al. (2019)229) 25 Peter Ong. et al. (2018)226) 30 Giancarlo Pirozzolo, et al. (2020)230) 54 Sabine Probst, et al. (2021)227) 53 Sabine Probst, et al. (2021)227) 29 Satoru Suzuki, et al. (2021)228) 32 Filippo Crea, et al. (2022)16) 16