p.18 抽出テキスト
異度が高いことは証明されているが168),MVSに対する感度および特異度についてはいまだ明らかではない. 2.5.2 微小血管狭心症の診断(表6) 微小血管狭心症の診断基準は,1 心筋虚血による症状を有すること,2 心外膜冠動脈に有意狭窄病変がないこと,3 他覚的検査で心筋虚血が証明されていること,4 CMDを有すること,の4点が挙げられる10, 101).冠微小血管の機能評価として,カテーテル検査におけるガイドワイヤーを用いた侵襲的な評価法のほか,心臓MRIやポジトロン(陽電子)放出型断層撮影(PET),また経胸壁ドプラ心エコーなどの非侵襲的な評価法も用いられている. ガイドワイヤーを用いた侵襲的な評価法として,現在わが国においては温度センサー付きプレッシャーワイヤーを用いることで,CFRやIMRを測定しCMDの診断が可能である.詳細は「第3章 5. 生理学的評価」に譲るが,CMDの最適なカットオフ値は欧米から報告されており6, 101, 169),また,カテーテル検査中にガイドワイヤーを用いた侵襲的な評価法によりCMDの診断を行うことで,endotypeに基づく層別化による心血管イベントリスクの低減や治療介入によるQOLの改善につながる可能性が示唆されている3, 11, 90, 170, 171). 非侵襲的な評価法として,心臓MRI 172, 173)またはPET 174)により心筋血流量(MBF)が測定可能であるほか,近年では心臓MRI 174–176)やPET 177–183)により測定した心筋血流予備能(MFR)を評価することにより,心血管イベント予測との関連を示すデータが示されている.なお,心臓MRIやPETなどによる冠微小循環の非侵襲的な評価法の詳細は「第3章3.3 CT,MRI,核医学検査」の項を参照されたい. 経胸壁ドプラ心エコーでの左冠動脈前下行枝におけるCFRと心血管イベントリスクとの関連についても報告されている.心臓MRIやPETと比較して報告が限られること184, 185),左冠動脈前下行枝に測定部位が限られることなどから,本ガイドラインフォーカスアップデート版では欧米のガイドライン6, 169)との整合性を考慮して,経胸壁心エコーによる左前下行枝のドプラ血流を用いたCFRの評価についてはクラスIIbの推奨とした(表6) 3, 10, 11, 90, 170, 171, 184, 185). テーテル検査において冠攣縮とCMDのどちらを先に評価すべきかは今後の課題である. 2.4.3 治療と管理 INOCAの治療と管理に関する唯一のランダム化比較試験であるCORonary MICrovascular Angina(CorMicA) 11, 81) では,IDPの結果に基づくINOCAのendotype別に層別化して介入を行った.冠動脈に有意狭窄を認めない胸痛患者を対象にアセチルコリン誘発で冠攣縮性狭心症を診断し,プレッシャーワイヤーで微小血管狭心症を評価し,前者であればCa拮抗薬,硝酸薬,ニコランジルを,後者であればβ遮断薬,Ca拮抗薬,ニコランジルを投与することにより,シアトル狭心症質問票で評価した狭心症症状のスコアが対照群に比較して27%改善された.一方,CorMicA試験では左前下行枝を主体とした冠動脈1枝のみの包括的冠動脈機能評価にとどまっており,今後さらなる研究が必要である.冠攣縮に対するCa拮抗薬の有効性に関しては,確立している6, 24, 137).微小血管狭心症に対するエンドセリンA受容体拮抗薬(zibotentan)の有効性を検証するPrecision Medicine with Zibotentan in Microvascular Angina(PRIZE)試験164),IDPの結果に基づくINOCAのendotype別の管理法を検証するCoronary Microvascular Function and CT Coronary Angiogram(CorCTCA)試験165),女性のINOCA患者に高強度スタチンとACE阻害薬/ARBの効果を検証するWomen’s IschemiA TRial to Reduce Events In Non-ObstRuctive CAD(WARRIOR)試験166)などのランダム化比較試験が現在進行中である. 2.5 診断 INOCAの成因(endotype)は心外膜冠動脈に生じる冠攣縮性狭心症と微小血管狭心症に大きく区分される.これらの成因は併存することもあるが,適切な治療を実践するために,endotypeを明らかにすることは重要である101). 2.5.1 冠攣縮性狭心症の診断 冠攣縮は心外膜冠動脈に生じるものと冠微小血管で生じるものに分けられるが,心外膜冠動脈における攣縮に対する検査方法については,「第3章 1. 冠攣縮性狭心症の診断基準」のとおり確立されている.MVSについての詳細は「第2章3. 冠微小血管攣縮」に譲るが10),薬物誘発試験時に,胸部症状と心電図変化だけでなく,冠静脈洞からの血液中の乳酸値による生化学的な虚血評価も行われている167).しかし,心外膜冠動脈における攣縮(冠攣縮性狭心症)に対するアセチルコリン誘発試験の検査感度および特