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の高齢化は世界に類をみない速さで進んでいるため,今後は女性の冠動脈疾患患者も増加するとされています. 2.1 遺伝と冠動脈疾患 遺伝的な要因も冠動脈疾患の発症のしやすさに影響を与えていることがわかってきています.冠動脈疾患の発症に関する遺伝要因の影響は,50%程度であるとの報告があります799).男性で55歳未満,女性で65歳未満で冠動脈疾患を発症した方が親族の中にいる場合,遺伝的リスクが高い可能性があります. 遺伝子を構成するDNAの配列には個体差(遺伝子多型)がみられる場合があり,そのうち比較的高い頻度(集団全体の約1%以上)でみられるものを「コモンバリアント」と呼びます.このコモンバリアントには,冠動脈疾患を発症しやすくするものがありますが,その一つひとつの発症に与える影響はとても小さいため,これまではあまり重要視されてきませんでした.しかし,近年,このようなコモンバリアントを多く有すると,そうでない人と比較して3倍以上冠動脈疾患を発症しやすくなることもわかってきました. なお,遺伝的な要因で生まれつきコレステロール値が高くなる方がおり,その家系の中では約50%の確率で遺伝するため,家族性高コレステロール血症(FH)と呼ばれています.FHは若くても冠動脈疾患を発症する可能性が高いため,若年時からのコレステロールの管理が重要です.詳しくは「Q5 家族性高コレステロール血症について詳しく教えてください」をご覧ください. 今後,こうした一人ひとりの遺伝情報を冠動脈疾患の発症予防に役立てていく個別化医療(一人ひとりの体質や病気のタイプに最適な医療)の実現が期待されています. 2.2 「危険因子」の管理が予防につながります 危険因子を多く有しているほど冠動脈疾患を発症する可能性も高くなります.一方で,改善可能なすべての危険因子を適切に管理することにより,わが国の冠動脈疾患の発症は半数以上減らす(予防する)ことができると言われています.さらに重要なこととして,危険因子そのものを予防・改善するために,若いときから喫煙しない(喫煙者は禁煙する),塩分やカロリーを控えた食事,運動習慣,適正な体重の維持などの健康的な生活習慣を心掛けることが肝要です.その上で,定期的に健康診断を受け,高血圧や糖尿病,脂質異常症などの危険因子を有していないか,チェックしていきます.危険因子を有している方は,かかりつけの医師と相談しながら,治療を継続していくことが重要です.なぜなら,高血圧や糖尿病,脂質異常症の治療の本当の目標は,血圧や血糖,コレステロールの値を下げることではなく,冠動脈疾患をはじめ脳卒中などの病気を予防することだからです.医師はその専門知識と科学的根拠に基づいて個々の患者に最適な病気の予防法を患者とともに考えるパートナーと言えます. たとえ遺伝的に冠動脈疾患になりやすい傾向の方であっても,健康的な生活習慣を若年時から維持することや適切な薬物治療を行うことにより,冠動脈疾患を発症する可能性をかなり低減させることができます. 冠動脈疾患は,現代でも主な死因の一つであり,初発症状が突然死のようなきわめて重篤な病状となることもあります.最も大切なことは,その発症を予防することです.そして,生活習慣の改善や早期からの適切な薬物治療によって,予防が期待できます.まずは,自分がどのような冠動脈疾患の危険因子を有しているかを理解し,その治療に努めること,さらには危険因子自体の発症を予防するために,生活習慣の改善に努めること,そしてこれらを継続していくこと,が必要です. なお,危険因子の保有状況から将来10年間に,冠動脈疾患や動脈硬化による脳梗塞を発症す