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(いわゆるスクリーンタイム)を1日2時間以内に制限することが奨められている786). 5.7.3 睡眠 睡眠不足も重要な肥満発生要因の一つであり,十分な睡眠時間の確保が必要である.関根らは,日本人の小学1年生の肥満発生要因を検討し,睡眠時間が8時間未満の群は, 10時間以上の群の2.87倍肥満しやすいことを報告している787)(エビデンスレベルB).睡眠不足が肥満を引き起こす機序の一つとして,血中レプチンの低下とグレリン上昇が報告されている(グレリンは摂食促進作用があることが知られている).夜更かしは,翌朝の朝食欠食を生じやすく,朝食欠食は肥満や糖尿病の発症リスクを上昇させ将来のCAD発症につながっていく.米国睡眠協会による年齢群別の必要睡眠時間は,学童9~13時間,思春期8~10時間である788). 5.7.2 運動 小児に対する適度な運動は,健やかな心身の発育,肥満や糖代謝異常,脂質代謝異常,血管内皮機能の改善に有効であり,積極性や有能感の向上など精神面にもよい効果を及ぼす.運動療法の効果は,わが国の肥満小児を対象とした介入研究では,休日に10,000歩以上の運動を行ったグループは,休日のスクリーンタイムを制限した群や,行動記録のみ行った群より肥満改善効果が優れていたことが報告されている783)(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB). 運動の種類は,幼児期には運動遊びを,学童期以降は有酸素運動を主体とし,思春期以降はレジスタンス運動も行わせる784).わが国の小児に対する身体活動ガイドラインには,運動強度の設定は行われておらず,1日60分以上の運動を毎日行うことが推奨されている785).座りがちな生活習慣は,世界共通の肥満の要因であり,坐位でテレビやコンピューターやゲームのディスプレイを見て過ごす時間 1 潜在性動脈硬化指標に古典的 危険因子を超える上乗せ予測能 はあるか? 潜在性動脈硬化の指標として,頸動脈エコーで測定される頸動脈内膜中膜厚(IMT),冠動脈CTで観察される冠動脈石灰化,下肢末梢動脈疾患の評価に用いられる足関節上腕血圧比(ABI),全身のarterial stiffnessの評価に用いられる脈波伝播速度(PWV)およびその関連指標である心臓足首血管指数(CAVI)などが知られている.これらの指標は検査の際の侵襲度が小さく簡便であり,実臨床の場でもさまざまな目的で用いられている. 本章では冠動脈疾患(CAD)の一次予防の観点から,これらの指標が古典的危険因子を超える上乗せ予測能を有するかに関して,日本人集団を対象にしたエビデンスの現 状を概説する.「古典的危険因子による予測」とは,たとえば米国のフラミンガム研究789, 790),わが国では吹田研究43),久山町研究29)などが開発したリスク予測モデル(リスクスコア)を用いて,CADの絶対リスクを推算することを意味する.ある潜在性動脈硬化指標が「上乗せした予測能」を有することと,その指標が古典的危険因子と統計的に独立してCADリスクと関連することとは同義ではなく,予測能改善の指標(c統計量,純再分類改善度[NRI],統合識別改善度[IDI]など)による評価が必要とされる.潜在性動脈硬化指標を加えることでこうした指標が改善するならば,「積極的に危険因子を管理・治療すべきか」ということの意思決定に影響する重要な情報となるため,その検査を推奨する根拠となる.一次予防における潜在性動脈硬化指標のこのような吟味は,米国の学会(ACC/AHA)の循環器疾患一次予防ガイドライン(2019年版) 22)でも取り入れられている.なお,本章における「予測能改善」に関する 第4章 リスク予測からみた潜在性 動脈硬化指標