p.63 抽出テキスト
分/1.73 m 2以上のCKD患者への治療の選択肢と考えられる708).しかしながら,DAPA-CKD試験では,心血管死+心不全による入院の複合評価項目の減少はみられたが,心血管死の低減効果は認められなかった708).そのため, CKD患者に対するダパグリフロジン投与によるCADの一次予防効果が証明されたとはいえず,現時点ではCKD患者に対するCAD一次予防目的でのダパグリフロジンなどのSGLT2阻害薬の投与は推奨されない. CKDに対するSGLT2阻害薬にあたっては,日本糖尿病学会のSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation 710)なども参照の上,脱水症のリスクが高いと考えられる高齢者・フレイル患者や意識障害・意思疏通に問題のある患者への投与は慎重に考える必要がある.またDAPA-CKD試験では,除外基準として,1型糖尿病,多発性嚢胞腎,ループス腎炎,抗好中球細胞質抗体関連の血管炎,過去6ヵ月以内における原発性/続発性腎疾患に対する免疫療法歴,が挙げられている点にも注意が必要である708). b. 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体 拮抗薬(MRB) MRBのフィネレノンについて,日本人を含む2型糖尿病を合併するCKD患者を対象とした統合的臨床試験(FIGARO-DKD,FIDELIO-DKD,および事前規定された統合解析FIDELITY)で,CKDの重症度やSGLT2阻害薬との併用にかかわらず,2型糖尿病合併CKD患者において腎臓の主要複合評価項目(末期腎不全,40%以上のeGFR低下,腎臓死)と心血管系複合評価項目(心血管死,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心不全による入院)の改善を認めたため711–713),2022年3月にフィネレノンは2型糖尿病合併CKDに対する適応としてわが国の製造販売承認がなされた.主な副作用として,高カリウム血症,低血圧,GFR減少(血中クレアチニン増加)が報告されている.ただし,FIGARO-DKD,FIDELIO-DKDの両試験で,心血管系複合評価項目(心血管死,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心不全による入院)のうち,有意な減少を示したのは心不全入院のみであり,他の構成項目の心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中については,フィネレノン投与群における有意な抑制効果は認められなかった711–713).そのため,CKD患者に対するフィネレノン投与によるCADの一次予防効果が証明されたとはいえず,現時点ではCKD患者に対するCAD一次予防目的でのフィネレノンなどのMRBの投与は推奨されない. SGLT2阻害薬の有効性に関するエビデンスは現時点では存在しない.一方,eGFR 25 mL/分/1.73 m 2以上の糖尿病性腎臓病(DKD)患者への治療として日本腎臓学会では推奨している.ただし,これは腎機能改善・腎機能保持の観点からみた推奨であり,CADの一次予防効果に関するエビデンスは以下に詳述するように十分とは言えない. 現在国内外にてCKDを適応疾患とした治療薬の開発研究と臨床研究が行われている.そして,わが国のCKD患者も参加して行われたDAPA-CKD試験では,2型糖尿病の有無を問わないCKD(eGFR 25~75 mL/分/1.73 m 2,尿アルブミン・クレアチニン比200~5,000 mg/gCr)患者4,304人(日本を含む386施設,21ヵ国)を対象として,SGLT2阻害薬ダパグリフロジン10 mg 1日1回投与の効果が検討された708).その結果,データモニタリング委員会ではダパグリフロジン群でプラセボ群に比較して明らかな有効性があると判断され,試験は早期終了された.そして,中央値2.4年での主要複合評価項目(50%以上のeGFR低下+ESKD [維持透析導入,腎臓移植,eGFRの15 mL/分/1.73 m 2未満への低下]+腎疾患死+心血管死)の発生は,ダパグリフロジン群197例(9.2%),プラセボ群312例(14.5%) (HR 0.61 [95%CI 0.51-0.72],P<0.001,NNT=19 [95%CI 15-27])であった708).腎機能が高度に低下したG4区分を対象としたサブ解析でも同様の結果であった708, 709). また,ダパグリフロジン群(vs.プラセボ群)における心血管死+心不全による入院の副次複合評価項目のHRは0.71(0.55-0.92,P=0.009),全死亡はダパグリフロジン群101人(4.7%),プラセボ群146人(6.8%) (0.69 [0.53- 0.88],P =0.004)であった.CKD 患者を対象としたDAPA-CKD試験では,ダパグリフロジン治療により, ESKDと心不全を含むCVDの両者のリスクが低減されることが示された708).ダパグリフロジン群における主要複合評価項目(50%以上のeGFR低下+ESKD [維持透析導入,腎臓移植,eGFRの15 mL/分/1.73 m 2未満への低下]+腎疾患死+心血管死)の減少は,2型糖尿病CKD患者,非2型糖尿病CKD患者で同様に認められた708, 709).この試験の結果,米食品医薬品局(FDA)は,SGLT2阻害薬ダパグリフロジンのCKDへの適応拡大を承認した.そして,国内でも2型糖尿病合併の有無にかかわらず,「慢性腎臓病(ただし,末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」のSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの効能または効果の追加承認がなされた. 現在,2型糖尿病合併の有無にかかわらずCKDに対する保険診療上の効果が認められているSGLT2阻害薬はダパグリフロジンのみであり,CKD自体に対する腎機能改善・腎機能保持のための治療法として,eGFR 25 mL/